里山の夏 石鎚山  シラサ山荘 2007/8/10
         

例年、10日程の夏休みがあったのでゆっくりと山歩きを楽しむことが出来た。

今回就職した会社は基本的に夏休みは無く、カレンダー通りの勤務だ。

仕方がないので2日程休暇を貰い近場で山歩きを楽しむことにする。

以前から気になっていたシラサ山荘で2泊ほどして、ゆっくりと石鎚山系を歩く計画を立てる。

しかし、予約も終わってコースを計画している最中家内が高熱を出した。

病院で見て貰うと、急性肝臓障害だという。

何しろGOT、GPT共に300を越えている。

急性A型肝炎かとも思ったがウィルス性ではないとのことで一安心。

引っ越しやカナダへの旅行で疲れていた所にこの暑さ、

そして先週の槍戸山からの鉄板焼き状態での縦走の疲れから肝臓が悲鳴を上げた様だ。

東京から帰ってきてから体重が4キロも減って食欲が無く冷たい物ばかり飲んでいたらしい。

家内は毎日病院に行って点滴をして貰っている。

山歩きも中止しようと思ったが、週末には少し安定してきた様なので私一人で出かけることにする。

朝5時過ぎに出発し寒風小屋でトイレ休憩。

今晩泊まる予定のシラサ山荘に立ち寄り宿泊の確認。9時丁度。



何しろこの山荘、立派なHPは有るがsanso shirasaと洒落て英語で登録しているため

普通の検索では引っ掛からず電話番号を調べるのに苦労した。

山荘前からは正面に石鎚山がそびえているのを見ることが出来る。

石鎚山のビューポイントとしては最高の位置にある。



頂上に少し雲がかかっているが天気もまずまずの模様。



シラサ山荘の二階にはレストランがあり食事も出来る。

直ぐ東には子持ち権現がユニークな姿を見せている。



9時20分土小屋着。

駐車場はがら空きだが、何か変な車両が停まっている。

こんな朝から一斉取り締まりをやっている訳もあるまいに。

土小屋の白石ロッジはとても綺麗な建物になっていた。

なにしろ石鎚山には子どもが幼稚園の時来て以来だから25年ぶりぐらいとなる。



ロータリーには1492mの石碑がある。

案の定神社前には大勢の軍隊風の人達が整列している。

どうも警察関係の人達らしい。



お聞きすると松山の警察学校の生徒さん達で総勢150人もいるという。

この人達に追いかけられては大変なので出発するまで神社をお詣りする。



瓶が森が目の前にそびえ立つ。

瓶が森林道からだとなだらかな平原の山の様に見えるが、笹原は頂上部だけで西側は厳しい。

右端に子持ち権現の特異な山頂が見えるがこの山も北西の斜面は切れ落ちている。

エントツ山さんとマーシーさんはこの急斜面を登ったのかなあ..



神社の横を通り抜けて車道を行くと左側に登山口らしき看板が見える。

有名な山だからもっと大きく登山口の道標があると思ったが意外と地味な入り口だ。

9時32分出発



しばらく行くと車道の行き止まりにある国民宿舎からの道が合わさる。

前に頂上小屋の荷物を運ぶ男性が二人登って行く。

頂上の新しい宿舎は随分と大きいと聞いているが人手で荷物を運んでいるのかなあ?

最初はブナの林の中を行く。



ほとんど水平な道を進み鶴ノ子ノ頭の北麓を過ぎると、トラバース道が南麓斜面に移り見晴らしの良い場所に着く。

目の前に石鎚山の素晴らしい姿が顔を出す。

先ほどの二人を追い越して快調に進む。

いつもは家内のペースに逢わせて歩くが今日は一人なのでペース配分が良く解らない。



眼下には面河に通じる石鎚スカイライン

その向こうは四国カルスト方面か?



来た道を振り返る。

奥に尖っているのは左が石黒山、右は筒上山だろう。



古い木の椅子のある場所で先ほどの警察学校の生徒さん達が休んでいた。

私も此処で休憩する予定だったが、道まで一杯に座り込んでいるし、次々に声をかけられるのでつい先に進んでしまう。

思えばこれが失敗だった。



しかも追い越して少しして急坂にさしかかった時、後ろから大きな号令と共に彼らもスタートしてしまった。

坂の途中で休む訳には行かないし先を急ぐ。

シコクフウロやヤマアジサイのは眺め建ち初めて撮影していると、とうとう追いついてきた。

先生らしき人がこの花は何ですか?と聞くので「シコクフウロですよ」というと後ろの生徒に大きな声で伝達している。

先に行って貰おうと思ったが、「私達は大勢で長い列になっているので気にせず先に行ってください」と言う。

気にはしないけど後ろから追い上げられるのは大変なんですけど...



木の階段となり少しのアップダウンはあるが殆ど水平な道を行く。



瓶が森の右には伊予富士。左には笹ヶ峰が姿を現す。

氷見二千石原が桃源郷の様に浮かんでいる。



ナンゴククガイソウやミソガワソウの群落がある。



シシウドの向こうに瓶が森



ガマズミが赤い実を付けている。

ナンゴククガイソウが満開。



メタカラコウも所々に咲いている。



瓶が森を見ると子持ち権現の向こうに伊予富士がクッキリと..



土小屋から3.6q、石鎚まで1qの看板。

此処が東陵分岐らしい。

10時38分。

椅子があるので座り込み警察学校の生徒さんが通り過ぎるのを待つ。

皆さん同じジャージにスニーカー。

ピンクの線が入ったのは女生徒らしい。



ベンチの前には立派なブナ。



シモツケソウやヤマアジサイが鮮やか。



10時53分成就社からの道と合流。

先ほどの生徒さんが鎖の下でごった返している。



しばし景色を見ながら休憩。

汗が噴き出してくる。



瓶が森の左には笹ヶ峰や赤石山系の山々まで見渡せる。



右側には子持ち権現の向こうに自念子ノ頭と伊予富士



お先にどうぞと言われて二の鎖下まで行くが、元気いっぱいの若者達に挟まれて鎖を登る自信はない。



若い警察学校の先生としばし歓談。

私も昔20年程前にパソコンの講師としてあの警察学校の教壇に立ったことがある。

流石150人の団体しばらく待ってもらちが明かないので脇道を行く。



タマガワホトトギスが丁度見頃。



脇道は誰も登っていない。

それにしても暑くなってきた。



三の鎖にはあの生徒達到達していない様だ。





シモツケソウが鮮やか。

伊吹山も今頃は綺麗だろうなあ..




脇道を登りきった岩場で二の森の景色を楽しむ。

右は西ノ冠岳。二の森の右奥には堂ヶ森



新しい宿泊小屋は余りにも立派。石鎚山の雰囲気ぶち壊し。

11時32分弥山到着。

出発してから丁度二時間。



二の森から四国カルスト方面

家内と一緒なら、これから二の森に行く予定だった。



神社にお詣り。

頂上には殆ど登山客は居ない。



天狗岳の左に登山口の土小屋が光って見えている。



成就社の向こうには雲が湧いてきた。



神社の裏を覗くとやっと生徒達が登ってきた。

かなり手こずった様だ。



天狗岳を目の前にした岩場で昼食にする。



何とも素晴らしい眺望。

石鎚山へは25年ぶりだが向こうに見える山々の頂上から石鎚山は何回も見た。

剣山や三嶺も探せば見えるのだろうか?



心行くまで景色を堪能して下山開始。頂上で一時間程過ごしてしまった。

12時30分。



私の好きなイワアカバナみっけ。





ミヤマカラマツ?とヤマアジサイ



シコクフウロとノリウツギ



シコクフウロの花園



ヒヨドリバナ



ヒヨドリバナと言えばアサギマダラ



登山道の下にはコオニユリがナンゴククガイソウの中に群生。

ミソガワソウも一面に咲いている。



これはツルギハナウドかな?右の実を付けているのは?




ギンバイソウが丁度花を咲かせていた。

この花は咲くとあっと言う間に汚くなってしまうので見頃に出会うのはラッキー



ヤマアジサイは暗い谷間によく似合う。



ハガクレツリガネ



ニガナ



いつもなら二人で花を探したり、景色を楽しんだりして下るのだが一人だと何か味気ない。



石鎚山を振り返る



14時26分登山口到着。



駐車場に帰り石鎚山から二の森への稜線を眺める。



土小屋の売店でコウリイチゴを食べ生き返る。

まだ早いがシラサ山荘へチェックインする。



階段を下りると受付カウンターがあり元ダイバーのマネージャー小森さんが出迎えてくれる。



想像以上に内部は広く贅沢な造りになっている。



道路から直ぐ入れるレストラン。



レストランから見下ろした食堂とロビー



100人が泊まれるという顔客は今のところ私一人。

二段ベットで6人は泊まれる部屋。

ベットの他に6畳程の畳の部屋となっていて寝るまでゆっくりと過ごすことが出来る。



その内、本川までお客さんを迎えに行っていた奥さんが帰ってくる。

マネージャーの小森さんご夫妻。



ロビーは窓際がカウンターになっていて外の景色を眺めながらコーヒーなどを飲むことが出来る。

まずは風呂に入りビールを飲みながら外の景色を眺める。

なんと窓の外はブナの林。

小鳥が沢山やってきて囀ったりブナの枝が風に揺れるのを眺めていた。

贅沢な一時。



一時間程ブナを眺めていると山荘のスタッフの若者が寄ってきた。

聞けば高知大学の学生でインターンシップとしてこの山荘で働いているという。

この山荘で働いてブナが好きになりいつも眺めているという。

伊吹山にも好きなブナがあるらしい。

「ブナの為に何をしてやったらいいんですか?」と聞くので

ブナのどんぐりや実生の話し、そして芽吹いた若木は何十年も自分の時代が来るのを待っていること。

どんぐりの実が出来る様になるのには50年以上掛かること。

そして立派な木となるのには100年以上の年月が必要なことなどを話す。

此処のブナは多分江戸時代の寒冷期に芽吹いたこと、そしてこれからも数百年生き続けていくこと等々

今年の春はどんぐりを沢山見つけたが全く芽吹いていないと言うので

ブナの下のクマザサが深いことから今のままではどんぐりは発芽せず

笹が何十年か後に枯れた時きっと芽を出すだろうなんて事をしばらく話していた。



しばらくするとガスが涌いてきた。

ここは風の通り道で夕方や早朝には霧が良く出るそうだ。

ブナはこの霧が大好きで喜んでいる様に見える。



やがて夕食タイム。

簡素だがとても美味しい料理に舌鼓を打つ。



ビールをお願いすると女性がビールをついでくれた。

この女性も高知大学のインターンシップで働いているという。

11月まで居るというので、秋にはこのブナの黄葉が美しいだろうなどと話す。

石鎚山にまだ登ったことが無いというので、石鎚山の写真をデジカメのモニターで見てもらう。

(私も登りたいと言っていたがこの後直ぐ登ったみたい。)



夕食後また風呂に入り地酒を飲んでいるとマネージャーの小さな兄弟が寄ってきてオセロで遊んだり

子どもたちの育てているクワガタなどを見せて貰う。



先ほど到着したお客さんはアメリカから本川に英語の先生として来ている女性の家族。

もうすぐアメリカに帰るので家族を呼んだらしい。

シャンペンなどでお祝いをしていた。



子どもたちが花火をしようと言うのでみんなで花火大会。

この花火をしている、もっちやん4歳は夏の終わりに

お父さんとインターンシップのブナの好きなお兄さんと、石鎚に登りたいと入っていたお姉さん

そして、後ろで花火をしているお姉さんうたちゃんと石鎚に登りました。

自然が大好きな兄弟です。



shirasa blogより

うたちゃん、もっちゃんそしてインターンシップの若者達です。

みなさん素晴らしいお持てなしをありがとうございました。

うたちゃんオセロ強いね。完敗しました。