里山の秋 妙義山 2006/11/12

− 紅葉真っ盛りの妙義山中間道を歩く −

かっちゃんから妙義山に行ったという報告を聞いた。

今週は天城山のバスツアーに行く予定をしていたが、早速キャンセル。

妙義山に土曜に行く計画を立てた。

しかし土曜は雨。日曜日に変更する。

妙義山は、軽井沢や長野方面に出かけた時に通る上信越道から何回も眺めた事がある。

中国の風水画にでてくる様な特異な山容(ゴジラの背中)をした山だ。



あんな山のぼれるのかなあと思って何時も見ていた。

先月10月には地元の中学生が遭難したという報道は今も記憶に新しい。

なにしろ妙義山の遭難事故は谷川岳を抜いて日本一だそうだ。

と言う訳で私達はハイキングコースである中間道をもみじ狩りハイクに出かける事にする。

6時前に家を出て恵比寿駅で湘南新宿ライン高崎直通快速に乗る。

この新宿湘南ラインは大船あたりから高崎などへ直通で行く事が出来る。

また、 最近東京では普通列車にグリーン車を連結しているのが多い。

松井田駅ではスイカの自動改札口がない為切符を買っておくと良いとのかっちゃんのアドバイスがあり

五反田で往復切符を購入。二人で8840円。

グリーン料金は車内だと高いので駅のホームでスイカにチャージ。750円。



二階建てのグリーン車は初めての経験。

席についてスイカをセンサーに翳すと赤ランプがグリーンに変わる。

グリーンアテンダントの女性も綺麗な人だ。切符販売と飲み物などの販売を兼務している。

静かで快適な車内を満喫していると大宮を過ぎて左に真っ白な富士山が見える。

家内は、今日は変な山に行かずに富士山の見える山に登れば良かったなんて行っている。



その内、右前方に赤城山系らしい山並みが見えてくる。頂上付近は雲を被っている。

その右奥には更に高い山並み。日光連山だろうか?中に一際、富士山の様な山の山頂が覗いている。

冠雪したあの山は男体山か日光白根山か?



高崎で乗り換えて松井田駅へ9時28分着。

40人ほどが下りるが殺風景な駅。

正面に妙義山が見えている。

タクシーが5台ほど止まっているので乗ろうとしたらみんな予約車。

仕方なく電話で呼ぶ事にする。



駅から見る妙義山は白雲山が正面に見えてゴジラの背中が見えない。

単なる切り立った屏風の様な岩山に見える。

左に見える金洞山が奇異な姿を見せているだけ。



やっと予約車が来たと思ったら、おばちゃん3人組が乗り込んで行ってしまう。

あれっ!あの人達、後から来て予約をしていないとか騒いでいたはず。

しばらくしてまたタクシーが来て「すみません前の車が違う人を乗せてしまって急遽来ました」

やはり厚かましいおばちゃん連中には負けてしまう。

此処で20分ほどのロス。



途中運転手さんからハイキングコースの説明を聞く。

「ハイキングコースと言っても油断すると滑落するから気を付けて」と、ご注意を戴く。

10分も掛からず道の駅みょうぎに到着。

1240円。

道の駅と言っても売店のある小屋みたい。

しかし駐車場は50台以上のバスや乗用車が止まっていて満杯。

弁当を購入しようとするが名物のコンニャク(群馬のコンニャクは全国一。何と全国の9割近く)と

でっかくて太い深谷ネギを抱えた客で満杯。

やっと栗おこわとおにぎり、焼き饅頭を購入。

歩いて直ぐの妙技神社の鳥居まで引き返す。



10時15分出発

標高430m

目の前に白雲山1104mが迫ってくる。

国重要文化財の総門をくぐる。



岩にそれぞれ名前が付いているらしい。






階段を上っていくと分岐があり看板がある。

ここから右に行くと大の字経由で奥の院そして白雲山に登る事が出来る。

地図を見ると大の字までは一般コースとなっている。

一般コースなら私でも登れるかな?

登ってみたいな?

と一瞬考えるが、さっきの運転手さんのお教え通り中間道を行く事にする。

この選択が正しかった事を後から知る事になる。

(中間道は茶色の部分の直ぐ下を通っているブルーの道。)



左へ行くと直ぐに妙義神社に着く。



今から1500年も前に創建されたらしい。

宝暦6年(1756)に建てられた黒漆塗銅葺入母屋造の本殿は日光から宮大工を呼んで作らせたという。

丁度東照宮を小型にした様な感じ。



きらびやかで彫り物が見事だ。



此処から4.8qの関東ふれあいの道(中間道)を行く。



境内では何十人ものツアー客らしいのが準備体操をしていたのでお先に出発。

のっけからコースは痛んでいる。

10時37分に大の字から降りてくる道に出会う。



直ぐに第一見晴台に着く。

狭い岩場だ。

眼下にふれあいプラザもみじの湯が見える。



右には金洞山。そしてその右には尖った岩群が。



緩やかな上り下りのある道を高度を上げていく。

徐々に紅葉が目に付く様になる。



大黒の滝があるが水はない。ほしがらすらしき鳥がいるが近くには寄れない。



所々鉄の階段がある。





10時57分第二見晴台に着く。

大勢の人が休んでいる。

少しばかりの鎖場があり岩場に登る事が出来る。



金洞山の紅葉が素晴らしい。

車道が走っているが、昔有料道路だったが今は無料開放されている妙義紅葉ライン。

イニシャルDの漫画で有名になった峠族のメッカ。

かって私も峠族の端くれだった事を思い出す。



こんな素晴らしいゴジラの背中がある。

相馬岳だろうか?



いつの間にか家内が第二見晴台の先端の岩まで行っている。

恐がりのくせにいつの間に?

一人位しか立てないので交代して景色を楽しむ。

右端の岸壁は天狗岩だろうか?



ハイキングコースの割には登りがキツイ。

何組も団体をパスしていく。





タルワキ沢分岐11時14分。



せり出した大岩盤の下を通ったり変化に富んだコースだ。

鉄製の梯子が崩れ落ちたりして土砂崩れが頻繁に起こりルートが付け替えられている様だ。



自然石の本読みの僧に11時25分着。

本当に本を読んでいる様に見える。

此処で丁度中間地点。



登りがキツくなってくると、団体が停滞してくる。

お先にどうぞと言われるが急な上り坂で大勢のパーティを追い抜くのはヨイショがいる。



奇岩群の下を通過していくと紅葉が益々美しくなる。



背を屈まして通らないと行けない大岩。



休憩所に11時43分着。

休まずにそのまま行く。



長い鉄製の梯子がある。

その先までと思ったら更に続いている。

途中で10人程の下りを待って登って行くと遙か上で大勢待っている。

最後ですか?と聞いてくるが団体のドン尻と勘違いしている様。

待たれるとつい急いでしまう。

登り切ったら足が攣りそうになった。



此処からは素晴らしい紅葉や黄葉のオンパレード。






更に何組ものパーティをパスして進む。

何しろ一パーティが40人ほどいるので大変。





良くこんな所にハイキングコースを造ったものだ。






やがて硬い岩混じりの凝灰岩の大岩壁の横を行く。

この妙義山は太古の火山で、長い歳月の浸食で硬い部分だけが残っている。

この上が金洞山頂上だろう。

ここで標高870m程。

上り下りの繰り返しで累計標高差は900m位になっている。

妙義山のハイキングコースは歩き応えがある。



真下に筆頭岩826mとその奥に金鶏山856mが見える。



振り返ると相馬岳の大絶壁。

此処が遭難死が一番多い所かな?



山が半分に割れた様な場所に来る。



田に向こうに先ほどの長い鉄製梯子を登る団体が見える。

あんな長い急な梯子を駆け上がったのか..道理で足に疲れがきている。

12時33分大砲岩の分岐に着く。



風がかなりでてきて寒い。

岩場を登ろうか思案している家内。



岩場の橋にはパイプの手すりがある。

富岡や安中の市内が見渡せる。



素晴らしい景色を堪能する。

岩の間から揺るぎ岩が見える。





大砲岩と天狗の評定が直ぐ目の前。

右は胎内くぐり。誰か潜ろうとしていた。



胎内くぐりを拡大してみた。

傾斜のある岩を滑る様に潜るので、そのまま崖下に落ちていく様な恐怖感が味わえるとか?



鎖を頼りに岩場を下る。

私が後から下りたら「へっぴり腰」だと家内が笑う。

その後講師付きの団体が来たがみんなへっぴり腰。

真ん中のジャンパーの人が講師。



一旦下ってさあいよいよ大砲岩への登り。

まずは私からチャレンジする。

まずは岩場を二つほど越えないと行けない。

岩場の上はすれ違えないので、下りま〜すとか登りま〜すとか声をかけて行く。

しきり役がいるパーティの人が先に行ってしまう。

私は怖々なのでタイミング良く行けない。

登っている最中、下ってきたので避けようとして岩に取り付き少しはい上がる。

そしたらもういけない!

鎖の所まで戻れない。

仕方なくそのまま登るとドンドン変な方に行ってしまった。

岩の上の灌木を掴んだらイバラだった。

灌木の中を行こうとして隠れていた岩にもろに向こう脛をぶつけた。

涙が出そうにいたくて、もう戦意喪失。

本当の岩盤の鎖までたどり着けずに敗退。



直ぐ下に見晴らしの良い岩のテラスがあったので昼食にする。

大砲岩を見上げながら栗おこわを食べる。

何か痛いと思ったら先ほどのイバラで手のひらから血が出ている。

余程必死で強く掴んだらしい。

ズボンを捲ると向こう脛がブクッと膨れて血が流れている。

家内から「身の程知らず」と馬鹿にされる。



先ほどの講師が大砲岩の上に立っている。

どんな神経をしているのだろうか?

風も強いのにポケットに手を入れたまま岩の上を歩き回っている。

食事の間岩の上に登ったのは二人。

左端の人は這い上がったがとうとう座り込んで立ち上がる事は出来なかった。



写真は赤城の歌HPから借用しました。

(この写真を見ると大砲岩の上は平ではなくちくわの様な岩なんだ。こんな上に良く平気で立てるなあ..)

鎖を登る人を見ていたが、すんなり登る人が半分。

半分の人は途中で進退窮まったり、最後の岩の上に這い上がる所で鎖から手を離せずにいる。

子供でも登れると書いてあったが、やはり初めての岩壁登りには怖く感じる。

もっと簡単な所から経験を積まなければ..



谷の方には第一、第二石門の岩峰が見下ろせる。

中国の山水画見たい。

左の岩の穴みたいな所を下りるらしい。



13時7分。食事を終えてまた岩を少しよじ登り第四石門へと向かう。



第四石門を越えると広場になっていて大勢が食事をしていた。

第四石門の脇の岩を登ると、ひぐらしの景の岩場。

とても見晴らしが良い。

前に乗り出すと足がすくみそう。

左上を見ると揺るぎ岩が今にも落ちてきそう。

何百年もあのように揺れながら建っているのだろうか?



ロウソク岩も紅葉で灯が点った様。



第四石門は想像より遙かにデカい。

良くこんなのが自然に出来たものだ。

穴の向こうに大砲岩が見える。



岩場をドンドン下る。



第一、第二石門への分岐。

蟹の横ばいとかあって面白そうだが、鎖のある岩盤は落ち葉が溜まって歩いている様な形跡がない。

誰か行かないかなあと思って待っていたが全員左への道を行く。

行ってみようかと家内に言ったら、「大砲岩にもいけないのに止めなさい」の指示。



仕方なく左へ下ると第一石門からの道と交差する。

大勢のお年寄りが第一石門の方からやってくる。

よく見るとザイルを持った人が何人か居て、岩登りの訓練のツアーらしい。

そのままカニの小手しらべを下りて登山口に13時44分着。



立派な無料休憩所でトイレをお借りし車道を下る。

右側に筆頭岩の尖り。

此処へも登る事が出来るらしい。



10分ほど手左へ入り一本杉から登山道を下る。



七曲がりをドンドン下っていく。

途中で妙義山展望所がある。



立派な岩峰が見えるがこの山は相馬岳か天狗岳か?







また車道にでて下っていく。

咲き残りの花を楽しみながら行く。

蜂蜜などを売っている店の前は大勢の人だかり。



もみじの湯を左に行くと妙義神社の参拝道に着く。

15時丁度に鳥居下に到着。

タクシーを呼んだら朝の運転手だった。

迎え料金込みで1780円。

駅に着くと電車がでたばかり。

次々とやってくる登山客と話が弾む。

中年の何処にでもいる様な叔父さんおばさんグループは、白雲山から金洞山を縦走して来たらしい。

丁度9時間かかったと言っていた。

怖くなかったですかと聞くと、人は見かけに寄らない。

槍や穂高、剱岳は何回も登っているらしい。

先日も鹿島槍のキレットを楽しんできたとか。



16時2分の列車で高崎へ。

帰りは高崎線快速で同じくグリーンを利用して帰る。

安中の駅から見たプラントは、新居浜の山田住宅から見た鉱山の精錬所に似ていた。

ハイキングコースと言っても少しタフな道。

岩登りは挫折したけど真っ盛りの紅葉を目一杯楽しむ事が出来た。

少しは岩も練習しなくては..