里山の秋 西吾妻山 西大嶺 2006/10/15

− 白布温泉 西吾妻山 西大嶺 グランデコ −

秋真っ盛り。全国ずう〜っと晴天の予想。

こんな絶好の山歩きの季節になんたる事!

会社のハイキングクラブの行事がある。

何か高源の様な?西吾妻山に行くという。

西吾妻山周辺MAP

ひょんな事でトコロテン式で会長を命じられているので、出席しない訳にはいかない。

一人で朝ゆっくりと新幹線で米沢へ。東京駅から2時間半。

便利な世の中になったものだ。

山形新幹線つばさは一列4席の少し狭い車両。でも反対に座席はゆったりとしている。・

福島からは在来線を走るらしい。

12時丁度、駅で集合して、米子名物の鯉料理を食べに行く。



米子駅はこれまたモダンでシックで素晴らしい。

米子名物?の旧米子工専(山形大学工学部)の建物を模しているのか?



20分ほども歩いて、鯉料理専門店「鯉の六十里」中津川の古い民家を改装したお店で鯉甘煮定食を戴く。

鯉のあらいも全く癖や生臭いニオイが無く美味しかった。

ゆっくりして駅に戻ると街路樹のナナカマドが真っ赤な実を付けていた。



駅でホテルの送迎車を待つ。

来るまで全く知識がなかったが、この米沢は上杉氏の城下町として栄えたらしい。

上杉と言えば上杉謙信は私でも知っている。

越後の武将で武田信玄との川中島の戦いは余りにも有名。

しかしその後、会津藩120万石に転封。またまたその後関ヶ原の戦いで西軍に加勢した事により米沢30万石に減封。

その後15万石に減封されてどうにも成らなくなった時に登場したのが上杉鷹山。

大リストラの結果、幕末の13代茂憲まで米沢の城下町の繁栄は続いたと言われる。

しかし歴史に疎い私はこの地に来るまで全く知らなかった。



米沢の三大味覚はリンゴと鯉と米沢牛。

鯉は先ほど堪能した。後は米沢牛とリンゴが楽しみ..

迎えのマイクロバスが1時半にやって来た。

バスもおんぼろだが運転手も80近い番頭さん風の人。

運転大丈夫かなあ?

ここで、早速メンバーの我が儘が始まる。

このメンバーは会社のOBが多く、しかも元○長を筆頭に役員など経験者が多い。

「未だ時間が早いので市内見物をしたい」と言い出す。

「そんな無茶な事」と制止しようとするが、お迎えの人はいとも簡単に「良いですよ」と一つ返事。

まずは「上杉家廟所」に向かう。





ヒノキ造りの廟が並んでおり、真ん中に上杉謙信そして前方両側に歴代の藩主が祀られていた。

杉の古木が荘厳な雰囲気を醸し出している。



トイレに米沢のまつりのレリーフがある。上杉まつりというのが有名らしい。

此処で大トラブル発生。

迎えの4WDマイクロバスが動かなくなった。

エンジンは掛かるが動かないと老運転手さんが舞い上がっている。

見かねた観光バスの運転者が試みるがミッションが入らない。

どうもクラッチが壊れた様だ。

どうなるのかなあ?と思いながら待つとマイクロバスのタクシーがやってきた。

ホテルが手配してくれたらしい。



4wdマイクロバスを廟所に残したまま、恐縮してタクシーに乗り込んだモノの...

ウチのメンバーは次は旧米沢高等工業高校(旧米沢工専)に寄ってくれとタクシーの運転手に頼んでいる。

ルネッサンス風の堂々たる建物は流石立派。

幅は94mもあるという。

裏では新しい山形大学工学部で学園祭が行われていた。

米沢って普通の東北の都市とは一寸違った文化がはぐくまれている様だなあ〜



なんだかんだで、白布温泉「ホテル渓山」到着。

タクシー代はホテル持ち当然だけど一寸心配した。

何とすぐ下に当社の保養所がある。

そう言えば米沢には大きな工場があるんだ。

早めに申し込んでおけば利用できたかも??


OB達は早速温泉に入っているが、時間もあるので一人で近所の散策と明日の偵察。

明日行く予定のロープウェイの駅まで車道を登って行く。

結構歩かないといけない。

見上げると山肌の紅葉が始まっている。



突然目の前を二匹の猿が横切った。

人慣れしていない様で遠くで恐る恐るこちらを見ている。

側に小猿か何かがいて、心配しているのかも知れない。

天元台ロープウェイまで来ると多くのバスと乗用車が停まっている。

ホテルから20分近く掛かった。

珈琲を飲んで休憩。



駅には鮮やかピンクのダイモンジソウが沢山売られていた。



見事な黄葉を楽しみながらホテルに帰る。

のんびりとホテルに引き返すが、明日の二日酔いのメンバーにはこの坂はキツイだろうなと思う。



ホテルの前には白布の滝の標識がある。

結構急な道を下り、川原に出ると落差50mの豪快な滝。

下半分は自然岩の滝だが上半分はどうもコンクリートみたい。

ロープウェイ駅までの道路建設で??となった様だ。



まあ離れて見れば立派な滝だ。(何のコッチャ)

ホテルに帰ったらこの滝近辺には熊が出るとか???

ホテルに帰って温泉に入るが先週の熊ノ湯と違って柔らかな無色透明。

白布温泉の由来
白布の名の由来は先住民語で「霧氷のできる場所=シラブ」という意味からつきましたが 遠い昔病いに侵された白い斑点の鷹が 湧きでる豊富な湯につかりみるみる病いを治したことから「白い斑点の鷹の湯」で『白斑鷹湯』。6Km下にある「大白部」「小白部」の部落の呼称に合わせて『白部高湯』。
        ※大白布」「小白布」の「布」の字は『部』を使った時代があった。
山の峰々が白い霧で覆われる光景が多いことから『白峯高湯』。湧き出る温泉の湯花が布を流したように見えたところから『白布高湯』などとその時代その時代で呼び名を変えました。
 白布高湯温泉は古くから福島の信夫高湯、山形の最上高揚(蔵王温泉)とともに奥州三高湯の一つに数えられ昔から『三湯湯治』と呼ばれて「三温泉全部に宿泊すれば100年長生きできる」と言われて賑わいました。
 硫黄泉(含石膏・硫化水素泉)


上杉氏が此処で鉄砲の製造を密かに行っていたとか?

160年前の白布温泉

白布温泉は平成12年に大火があり古い旅館が焼失した。

とても趣のある旅館だったらしい。

夕食で米沢牛を堪能。

生でも美味しいと言われるこの肉は軟らかくて味がやわらかい。

とっても美味しい。

部屋に帰ってホテルの前の古い酒屋で仕入れた地酒で宴会。

私はこの時間がとっても...。

昔の山男?の自慢話が何処までも続く。

槍や剱に登った話はよいけれど明日はしっかり歩いてね。

山形の地酒はとっても美味しい。

誰の差し入れかなあ?こんな時先輩達は大変ありがたい。

ゴチに成ります。

イビキ組は別の部屋に移動して就寝。

当然私もそのメンバー。

私もいびきをかくけれどこのメンバーのイビキはすごかった。

ステレオサラウンドでイビキが響き渡る。

それでもお酒のおかげでいつの間か一眠り。



朝3時頃にイビキで目が覚めるともう寝られない。

温泉に入り夜の明けるのを待つ。

美味しい朝食を戴いて7時半出発。

昨日の偵察の経験からホテルにロープウェイ駅まで車での送りを頼んでおいた。

しかし、また昔の山男が、「歩いても5分位なのに何で車で行くんだ!」と言い出す。

先輩だけど、あまりにも独りよがりなので「じゃあ降りて5分で歩いて来てください」と突き放す。

なんだかんだとあったが車だと5分も掛からずに駅に着く。

8時の臨時便に乗り出発。



美しい景色を楽しんで直ぐに天元台に着く。



天元台は新高湯温泉を経由して車道が続いている。

別荘地もある。

広いスキー場となっている。



天元台から延々と3本のリフトを乗り継いでいく。

ホソバのヤマハハコが群落を作っている。



リフトに乗っているととても寒くなる。

リュックを抱えてふるえながら我慢する。

長いリフトだ。

8時50分標高1820mの北展望台に着く。

安全の鐘からは素晴らしい眺望だが遠くは霞んで見える。



所がメンバーはウロウロしてなかなか出発しない。

9時12分やっと出発。



直ぐに分岐がありカモシカ展望台には行かずに左へと人形石に向かう。

大きな火山岩がゴロゴロした道を登る。

先週の大風の所為か?

オオシラビソが沢山倒れている。

その度に上へと迂回していく。



9時50分突然視界が開けたと思うと、岩ゴロゴロのピークに着く。

向こうに東大嶺(ひがしだいてん)?の緩やかに見えるピーク。



此処が人形石らしい。

このまま行くと籐十郎経由で東大嶺、烏帽子山、東吾妻山等の吾妻連峰を縦走できるらしい。

それにしても吾妻連峰には緩やかな山頂を持つ火山が沢山連なっている。



この大岩が人形石か?どう見ても人形には見えない。

思い切って一番大きな岩にはい上がる。

家内がいると止められるが今日は止める人はいない。

OB達は登ろうとして断念。

4〜5m位の岩だが登ると気持ちがよい。

降りる時には一寸困った。

体を滑らし飛び降りたがなんて事はなかった。

なんか病みつきになりそうだなあ..



次の梵天岩に向かう。

此処のオオシラビソは大雪の為に背が低い。

六甲田山のとはかなり雰囲気が違う。

冬には歯磨き樹氷というのが出来るらしい。

ハイマツが一面に生えているがよく見ると少し小さめの葉もある。

種類が違うのかも?



中大嶺を右に見て下っていくと大凹の湿原が見下ろせる。



途中でカモシカ展望台からの道と合流。

正面に梵天岩を望み降りいてくと沢山の池糖がある。

初夏には沢山の山野草が咲く花園となるらしい。



草紅葉が美しい。



抜ける様な秋空になってきた。

とてつもなく気分がよい。



10時30分、大凹の水場を過ぎると登りとなる。

急坂となり大きな岩が連なっている。

前の20人のパーティの女性達が「スベル、登れないっ...」女性徒の様な悲鳴を上げる。

手を引っ張ってもらったりお尻を押してもらったり甘えっぱなし。

大渋滞を起こしている。

後ろを見ると我がパーティは更にばらけて遅れている人が居る。



視界が広がると前のパーティは早速休憩。

パスしようと思ったら我がパーティも座り込んだ。

向こうに見えるのは中大嶺



正面に梵天岩が見えてくる。

左には中吾妻山だろうか吾妻連峰の山が連なる。



また登りになると美しい沼の向こうにカモシカ展望台から中大嶺方向が見渡せる。



梵天岩手前には大きな岩が連なる。



遅れているメンバーを待つ間に梵天岩標識で記念撮影。

11時19分。



ガンコウランに黒い実が一杯。

この岩場にはガンコウランが一面に生えている。

岩場にみんなが座り込もうとするが、かなりスケジュールが遅れている。次の天狗岩で昼食と決めてトップに伝える。



直ぐに天狗岩の広い岩の広場に着く。



最後尾を確認して吾妻神社に向かい写真を撮っていると先頭集団は、西吾妻山に向かって岩場を下っている。

さっきあれほど人形岩で昼食と言ったのに...



仕方がない、かなりバテた人達の後を付いて私も下る。



鞍部には広い湿原が広がる。

コメツガとオオシラビソの林の中を登るが、既にバテた人達の歩みは牛の様。

追い抜く訳にも行かず付いていく。



途中で大きなパーティが降りてきた。

天狗岩は何処だと訪ねられて振り向くと、かなり向こうに天狗岩の吾妻神社が見える。

「あすこですよ」と指さすと、「えっあんなに遠いの?」とみんな停まってうなっている。

「30分以上も掛かるじゃないか!」そんな事私に言ったって知るかい!!

大勢が停まったままなので前に行けない。

我がバテ斑はこれ幸いと座り込んでいる。

かき分けて登ると直ぐに西吾妻山山頂2035m。

11時52分着。

日本百名山「吾妻山」の最高峰。

百名山にしては味気ないピーク。



頂上では食事も出来ない為、西吾妻小屋に向かって下る。

此処も広い湿原となっている。

向こうに見える赤い小屋が西吾妻小屋(無人)



湿原の左向こうにこれから向かう西大嶺(にしだいてん)が見える。

小屋の手前では大勢の人が食事中。

私達も此処で食事とする。

12時7分。

ホテルで作ってもらったおにぎり弁当は一寸塩が利きすぎているが美味しい。

西吾妻小屋を覗きに行くと一階にはトイレと休憩所。一寸臭い。

トイレは女性で満員で男性は入れてもらえない。

トイレの扉が壊れている為男は入るなと見張っていた。

外に5m位の鉄梯子がありその上にまた入り口のドアがある。

冬になると4m以上雪が積もるので二階から出入りするらしい。



ここで天元台に引き返すグループとに別れる。

次の西大嶺に向かうのは元○長と夕べから大言を垂れている四国でもお世話になった先輩。

「*×君はそんなお腹をして本当に大丈夫か?あの見えている山に登るんだぞ」

としきりに私の事を心配(馬鹿に?)している。

「まあ何とか登れるでしょう」と言って出発。

12時37分。

また湿原を行くと岩の嫌な道。

急降下すると西大嶺の左肩向こうに会津磐梯山が見えてくる。

いつも煙が見えているがあれは噴煙だろうか?

男一名女性三名のパーティに追い抜かれる。

下りは馬鹿早い人が多い。

あっと言う間に米粒の様に遠ざかる。



一見三嶺にも似た稜線が見えてくる。

鞍部に着くとペースを合わせてやるから先頭を行けと言う。



お言葉に甘えて、登り始める。

見た目はなだらかだがピンクの火山岩の道は一寸キツい。



下りで追い抜いていったパーティに追いつき、ぐんぐん行こうと振り返ると元○長しか付いてきていない。

あれまっ!遅れてあえぎながら登ってくるのは...



13時10分山頂到着。



目の前には会津磐梯山と大きな桧原湖、手前に小野川湖、左に秋元湖。

そして磐梯山の左向こうには猪苗代湖が輝いている。



振り返ると西吾妻小屋が小さい点に見える。



桧原湖の奥のかなり標高の高い所に白く見えるのは、雄国沼だろう。

東南の方向には中吾妻山、東吾妻山そしてその奥に安達太良山の尖った乳首岩もクッキリ見える。

(写真だとはっきり見えない)



山頂で地図を広げてしきりと話しかけてくる人は1ヶ月のリフレッシュ休暇でこの辺の山を総なめしているそうだ。

一ヶ月のリフレッシュ休暇を取れるのは?「*銀系の人でしょう」と聞くと図星だった様だ。

「**は税金を払わなくて良いから休暇も長く取れて良いですなあ」と早速口の達者な先輩が嫌みを言っている。



十分に景色を堪能して13時20分出発。

此処からゴンドラ乗り場までは約600mの下り。

1時間半は掛かるだろう。

そのことを話すと地図を見て、「地図では400mの下りで良いはずだ。1時間で降りられる」

なんてまた言い出した。

「ああソウですか」と下っていく。



全く眺望のない樹林帯の下り。

とりあえず標高1600mまで一気に下る。

「400m下りましたよ」

しかしやはり樹林帯を抜けていない。

高度計は100m位誤差があるなんて未だ言っている。

その内足にマメが出来たと言い出した。

今度は下るのが早すぎるとぶつぶつ言っている。

14時27分。1時間10分ほど下ってやっと沢の開けた所に出た。



振り返ると素晴らしい青空。



3人で歓声を上げる。



ガレた道をペンキの赤マークに従って降りていく。

東北などの岩の多い道では踏み跡をたどるのが難しくて、どちらに降りていったらよいか判断しにくい場所が多い。

見苦しいが赤ペンキマークは頼りになる。



その内ブナの大木が現れる。




ホソバノヤマハハコがしぶとく花を咲かせている。





ブナの古木の紅葉



14時50分グランデコのゴンドラ乗り場に着く。

標高1380m

やはり600mの下りだった。

先輩はゴンドラ駅の標高表示板を見て「××君の言う通り標高1400m程だったなあ」とつぶやいた。

此処は元々素晴らしいブナの林だったらしいがスキー場の為に大半が伐採された。

それでもゲレンデをはずれると素晴らしいブナが残っている。

此処のブナの黄葉は茶色だ。



タクシー会社に電話して迎えを頼む。

今日は五色沼の辺りが大渋滞で30分位掛かるという。

丁度良い時間だ。

ゴンドラには直ぐ乗れた。

周りは素晴らしいカラマツ林。

黄葉が始まっている。

ゴンドラのガラスが湾曲していて上手く釋護法心が撮れないのが残念だ。

これから葉を落とすまでしばらく楽しむ事が出来るだろう。



下っていくと丁度紅葉がまっ盛りこの辺では楓の紅葉も少しある。



グランデコ乗り場で缶ビールで乾杯。

タクシーで猪苗代湖に向かう。

左に、春に泊まった立派なリステル猪苗代のホテルが見える。

運転手さんに観音寺川畔の桜は見事だったと言うと「私はあの近くの生まれです」

と喜んで色々と話し出す。

古い桜で子供の時から慣れ親しんできたが10年ほど前から花が咲かなくなった。

それをお爺さんらが学者に調べてもらい病気になった枝を全部切り落として、2年ほど前からまた咲くようになったとのことだ。

今年の桜は以前にも増して綺麗だったと大喜びで話すが、熱が入ると会津弁は全く解らない。

4時過ぎに猪苗代湖に着き駅前の食堂で運転手さんお勧めのラーメンで乾杯。

タクシー代は電話では6000円〜7000円と言っていたが、スムースに走って8500円ほどかかった。

5時のバスで新宿を目指す。

車内で「××君は昔は仕事とゴルフばかりで最近山に登っていると聞いても信じられなかった。

また今度一緒に山に行こう」とすっかりうち解けて四国時代の事を色々話し合っているうちに王子に着く。

先輩が降りるというので私も下車。

京浜東北で大森まで帰りタクシーで家に着いたのは10時頃。

何時もと違うペースに戸惑ったが最高の天気の中楽しい山歩きが出来たなあ。






総歩行距離7.5q

累計標高差 +456m −867m