里山の春 大川原高原 高鉾山 2007/4/21

− カタクリの花を求めて ノアの箱船伝説の残る高鉾山 思いがけない出会いがあった −

学生時代、同級生に高鉾山出身者がいた。

その頃、高鉾山が何処にあるのかも知らなかったが、何か天辺の山のような気がしていた。

強度の近眼でヌーボーとした彼は大人しい男だったが、突然ジャズに目覚めコルトレーンを崇拝し

いつの間にかフルートを買ってきて寮内で吹いていた。

山歩きを初めてから、その高鉾山が以外と徳島市の近くにある事を知った。

今日は気になっていたその高鉾山に登る事にする。

カタクリももう咲いている事だろう。

8時に家を出発。大川原高原の駐車場に8時23分着。

一軒茶屋は未だ閉まっている。



少し曇ってはいるが見晴らしは最高。

眼下に、先日歩いたあづり峠から連なる山並み、そしてその向こうに島のように見えるのが徳島市のシンボル「眉山」

更にその向こうには紀伊水道が広がり、淡路島そしてその右に沼島。

鳴門海峡から阿讃山脈まで見渡す事が出来る。





通行止めの柵から入っていくと道端には沢山のスミレが出迎えてくれる。

小さな白いツボスミレ(ニョイスミレ)が可愛い。



風車のある牧場へ上がる手前を左へと入っていく。



突然スミレの花園が広がる。

淡いピンクの可愛いスミレはヒナスミレ

葉の先は長く尖る。縁には波状の鋸歯があるのが特徴。

右はタチツボスミレだろう。



葉の裏が赤紫のスミレはシハイスミレかな?



鮮やかな濃い紫色で良く目立つのはニオイタチツボスミレ。

花の中心の白が目立つ。

芳香がするそうだが余り良く匂わない。



アセビが満開の道を行く。

ピンクのショウジョウバカマが綺麗。



上弁が丸まっている小さなスミレはニョイスミレ

アワミツバツツジが咲き始めている。

アセビは丁度満開。



左はフイリヒナスミレかな?

展望台手前には濃いピンクのエイザンスミレの群落。

この様に濃い色のエイザンスミレは初めて。



いつ見ても要塞のような展望台。



此処から柴小屋までの縦走路は11.5qほどある。行っては見たいが往復で23qは少し遠い。



展望台から徳島市内を眺める。

あれっ!風車のプロペラが無い。唯の棒になっている。

なんかこの高原に一杯風車を作る計画があると聞いていたが...夢風車が壊れては夢がない。

個人的には風力発電用の風車は余り好きではないので、計画が中止になれば嬉しいかな?



ここまで来ると直ぐ下の佐那河内の町も見える。

右は勝浦方向の山。



西の方には雲早山方向の山々。

直ぐ前にこれから向かうニセ高鉾山と高鉾山



大きな葉のエイザンスミレ。

何時も見慣れているのより異様に葉が大きくて花の色が濃い。

エイザンスミレ特有の3つに別れた葉の特徴が良く解るが..

ツツジとアセビのトンネルを行く。



1020m一等三角点。お馴染みのヤッホー地蔵がある。

9時6分。



この辺はカタクリの群生地の筈。

辺りを歩き回るが全く咲いていない。

カタクリの葉は、いたる所にある。

少し時期が早すぎたようだ。

来週あたりには咲くだろう。



柴小屋への分岐まで行き左に下る。



ツルシキミの花ももうすぐ咲く。



送電鉄塔の下から急な階段を下る。

鞍部(不動峠)に付くと石の不動尊と山犬に噛まれて亡くなったというお紋の墓がある。

徳島大学のHP上勝の伝説i)





ここで道が分かれている。

左の引き返すような道は多分駐車場までのトラバース道だろう。

しかし前方へと続くしっかりした道は柴小屋方向なのか?高鉾山方向なのか?

この道標の示す角度も微妙。

それにしても柴小屋への道が高鉾山より左に向かうのが感覚的に違和感がある。

多分柴小屋への道は林道に出てニセ高鉾山と高鉾山の間を抜けていくのだろう。



不動尊から右へと踏み跡があり赤テープに高鉾山と書いてある。

右へと進む。



この長細い葉のスミレはナガバノスミレサイシンかな?



ヨゴレネコノメの咲いている辺りから急登となる。



ズルズル滑る急な坂を上がろうとすると、丁度足場となる辺りに小さな白い花が咲いている。

ハルトラノオだ。小さくてとても可愛いが、踏まずに登るのに一苦労する。



噂には聞いていたが急な登り。

とても一息では登り切れずに一休憩。

振り返ると旭ヶ丸がノペッと横たわっている。



登りきると1031mのニセ高鉾山。

9時41分。

此処から道が二つに分かれるが道標はない。

とりあえず真っ直ぐ進む。



中央特徴のあるとんがりはスーパー林道が上勝から登ってきた所で巻くピーク(旭ノ丸?)。

そのむこうには雲早山や高丸山がある。

右奥には矢筈山等の祖谷へと続く山並み。



シロモジが満開で陽に輝いている。

此処まで誰にも会わなかった。

開発された大川原高原の直ぐ近くとは思えない静かで素晴らしい場所だ。



この木は何?

REIKOさんのHPでヤマヤナギと知りました。

この猫じゃらしの様なのが花だそうです。



雑木林の中を下って行く。



四国の道と書かれた看板のある林道に飛び出す。



所が高鉾山への登山道が見つからない。

しばらくウロウロして探すが、四国の道看板の直ぐ左に赤テープを発見。



看板も何もないが入っていく。

緩やかな登りで直ぐに高鉾山984m山頂。

10時4分。



六郎山が正面に見えている。

頂上には立派な木。何の木かな?



眼下には勝浦川が海まで注いでいる。

勝浦川の向こうの山の更に向こうには那賀川が海に注ぐのが見える。

阿南市の神崎製紙の煙が見えている。

この煙は子供の頃から何回眺めた事だろう。



頂上は足の踏み場もない位のスミレの絨毯。

ヒナスミレ、シハイスミレ、ナガバノスミレサイシン等咲き乱れている。

スミレの好きな人だとこの場所だけで一日過ごせるかも知れない。









未だお昼には早いので林道に引き返す。

ミツバツチグリも多い。



白いタチツボスミレが一杯咲いていた。

このスミレは距まで真っ白。



しばらく林道を歩き鉄塔保安路から左に登る。

実はこの先直ぐに四国の道があったのでそこから登る方が良いかも知れない。



この可愛いピンクのスミレは丸い葉っぱで裏は緑。



70番鉄塔に着く。

ニリンソウが寂しく一輪だけ咲いている。



更に71番鉄塔へと行く。

鉄塔はボルトを緩められないようにボルトにカバーが着いている。



下って行くと右下に遊歩道が見える。

鉄橋を渡り登り返していくと、お文の墓に着く。



トリカブトのツボミが少し。

右へと分岐を行く。

多分コレが駐車場へのトラバース道だろう。



この道は殆ど誰も通らないのか、道の真ん中までスミレが一杯。

避けて歩けないほど。






濃いピンクのエイザンスミレが一面に咲いている。

東京の高尾山で一輪だけエイザンスミレを見つけて喜んだのがウソの様。




このスミレは葉が5つに別れている様に見える。

ヒゴスミレだろうか?



ニオイタチツボスミレが鮮やか。



このスミレ、エイザンスミレにしては葉が...??

蘭ちゃんにお聞きするとやはりエイザンスミレとの事。

こんなに色の濃いのは見た事がない。

もしかして徳島固有種?



センボンヤリとフイリヒナスミレ



ミツバツチグリやショウジョウバカマも多い。

このまま駐車場まで帰ろうかと思ったが未だ時間が早い。

花を見ながらウロウロしていると今日初めての人の声がする。

ふと見ると家内がいない。

いつの間にか声のする方へ行っている。

トクシマコボイモの花が咲いていると言う。

掲示板で良く話題となっている花だが私は見た事がない。

挨拶もせずに(何時も夢中になると周りが見えない)撮影させて戴く。

失礼しました。



一生懸命写しているとkyoさんですかと聞かれた。



なんとこもれびさんご夫妻とコマクサさんご夫妻だった。

こもれびさんお元気になって良かったですね。

家内と一緒にパチリ。

貴重な花の情報もお聞きして別れる。



ピンクのショウジョウバカマ。

左に見えるのはカタクリの葉。





しばらくその辺りを歩くとやっと一輪だけ咲いているカタクリの花を発見。



やっと出会えたカタクリの花は少し恥ずかしそう。



またまた、お目当ての花を探して歩き回る。

フデリンドウを二株発見。

讃岐富士ではよく見かけたけど徳島では初めて。



ヒゴスミレがあちこちに咲いている。

お目当ての花はなかなか見つからず1時間以上も上がったり下ったり。

未だ昼食前だと言う事に気づきタムシバの木下でお弁当。

もう帰ろうかと思ったが、もう一度探そうと言う事になりまた歩き回る。

カタクリの花を探されている方がいたので話しかけて、ふと谷間を見ると、なんとREIKOさんがこんな所に!

家内とは2年ぶりの再会。

同じお目当ての花を探しているというのでまた、登ったり下ったり1時間ほど歩いても解らず

コマクサさんに電話してやっと見当違いな場所と解りついに発見。

コマクサさんありがとうございました。



イワザクラ。可愛い花です。

環境省絶滅危惧IB類、徳島県絶滅危惧I類になっています。

盗掘の危険にさらされている花だそうですが、徳島に咲いている事を感謝。

大事にしたいですね。

盗掘しても育ちませんし、苦労して庭にこの花を咲かせても、自分が盗掘者だとアピールする事にもなります。

ずっとずっと徳島の自然の中で咲き続けてくれます様に。



また帰りにハシドコロやヤマシャクヤクの群生地に向かう。

ヤマシャクヤクは未だ硬い蕾。



ニリンソウはもう殆ど散ってしまっている。

薄日が差す中をREIKOさんと連れだって帰る。

私の家は直ぐ近くだがREIKOさんの家は遠い。気をつけて帰ってね。

今日は念願の高鉾山にも行く事が出来たし沢山のスミレたちとも会えた。

元気になったこもれびさんやコマクサさんそしてREIKOさんともお会いできて感激の一日だった。