里山の秋 多峯主山(とおのすやま) 2006/10/22


− お手軽山歩きのつもりが... 日本百名山お爺さんの悪魔の囁き −


見返り坂を登って行くと、右の高麗峠の方からお年寄り集団がやってきた。

お聞きすると地元の方で、天覧山から尾根道経由でやって来たという。

私達の歩いてきた山底経由の道は、体力増強訓練生しか歩かない道だとか?



アザミやコウヤボウキが、まだ咲き乱れている。

低山なので季節が遅く過ぎようとしているのか?



マユミの実と思ったが葉が厚くて常緑樹の様?

蘭ちゃんがゴンズイの実だと教えてくれました。

釣りの邪魔者のゴンズイは知っているけど植物のゴンズイは知らなかったなあ..

高麗峠から宮沢湖へ行く分岐。



多峯主山の頂上直下の男坂。

二つに分かれていて、右は子供専用の鎖場。

子供専用とは珍しい。同時に登れるのは5人までと注意書きがある。

こんな坂があれば、子供は大喜びだろうなあ。

男坂を上ると頂上。

9時21分着。



飯能の街が眼下に見える。

その向こうには東京まで見渡せるそうだ。



頂上には経塚もある。

一登りしただけなのに汗が噴き出ている。

スポーツドリンクが美味しい。

この時ごくごくと飲んでしまった事が...?



今日の簡単登山は此処で終了。

後は高麗峠から宮沢湖へのお散歩コース。



ふと西側を見ると大きな団地の向こうに、なんか山並みが続いている。

先ほどのお年寄り夫婦4人組の叔父さんが、家内の関西弁を聞いて、何処から来たのと家内に聞いている。

家内は西馬込から来たと応えているが、関西から来たと思いこんでいるからトンチンカンプン。

「この人達、三島から来たそうですよ」何で西馬込が三島になるの?

「ようこそ飯能へ!」と秩父路の山歩きについて話の花が咲く。

「大きな団地ですね」「西武の団地だよ」「その向こうの山は天覚山だよ」

そこで家内の耳がピクリと動いた。

「天覚山まで行く事が出来ますか?」

「ああ、2時間ほどで行く事が出来るよ。」

「あのお爺さんは百名山も登っている人で、ここらの事も全て知っているんだ。あの人に聞きなさい」

向こうで一人タバコを吸っているお年寄りにお鉢が回った。

「あの団地の左に、スキー場の様に見えている所へ向かって行き、あの送電線の所が天覚山だ」

「付いてきなさい分岐まで案内する。」とすたこら進み出した。

一寸待って、私達はこれから高麗峠ピクニックコースへ行く予定。

家内は団地の直ぐ向こうの丘が天覚山だと思いこんでいる。

でも二時間位ならまあ良いか...と言う訳でお爺さんの後を付いていく。

9時30分。



百名山お爺さんはスタコラサッサと下っていく。

途中登りになる所で他の方達とはお別れ。

家内はさっさと行っているが、二人のおばさんは「昔この道から行った時は道が細くて大変だったわねえ..」

最初教えてくれた叔父さんは「あっちへ行ったらものすごく遠回りに成るのと違うのか..」

なんて話し合っているのが、とっても気になる。



御岳八幡神社の分岐を更に登り、左に人の声がすると思って見ると池の畔で大勢が遊んでいる。

雨乞い池だと思う。ここらまではピクニックコースの様だ。

とても登山道の入り口と思えない所に古い看板。

これは西武不動産が団地を開発した時に作られた看板と後から知った。

団地は50年代に造成されたはず。ふるっ〜!

実は団地はここから多峯主山そして天覧山まで全てを飲み込む予定だった。

住民も諦めていたが、この地にオオタカの営巣が見つかった為計画が急変更したとの事だ。

その為この場所は造成中のまま残されている様なのです。



「それじゃ気を付けて」と百名山お爺さんはまたスタコラと帰っていく。「ありがとうございました」

家内はドンドン登山道?に入って行くが、わたしは益々不安。



最初檜の植林地帯を行くが、突然フェンスが現れ、左へと踏み跡が下っていく。

転がり落ちる様な坂道。まるでこれは崖じゃないか?

段々ヤブになりとってもワイルドなコースとなる。写真など撮ってはいられない。

倒木を拾って杖にする。家内にはしっかりした、黒光りする何人もが利用した様なのを見つける。

私は弓の様に曲ったのしか見つけられない。

それでもこの杖には道中非常にお世話になりました。



谷まで下りきると沼地の様になりシロヨメナが群生している。

今朝ほどの雨に濡れた花弁が新鮮で美しい。



踏み跡をたどって登って行く。



これまた半藪状況。

真上から突然二本ストックの男性が滑る様に降りてきた。

昔のハイキングコースの階段や手すりがあるが完全に壊れている。

根性のいる登りが続く。

またフェンスにぶつかると小さなピーク。

此処が大黒山だろう。

金網の向こうに電信柱が並んでいるのが見える。

草ボウボウで開発途中で放棄された団地か?

二股に分かれていたので緩く見える右の道をとる。

突然垂直に見える下り坂。

朝の失敗を繰り返さない様に木の根を掴んで降りていく。

下の合流点で確認したら左の道が巻き道だった。



モミジバハグマが今頃まだ咲いている。



やけくそで降りていくと、作業員の叔父さんがじろっと見て通りすぎた。

「いのしし、サル、ハクビシン、アライグマ捕獲中気を付けろ」との看板。

ハクビシンは朝倉村のわるこ姉がこの夏中格闘していた。

でもアライグマってこんな所にいるの?西条の山奥には可愛いアライグマさんが住んでいるらしいけど..



突然団地の車道に飛び出す。

少し右に行って、貯水池から左へと入る。

10時28分。

多峯主山からもう既に1時間経っている。

切り株の案内板?がある。

よく見ると此処から天覚山まで、160分と書いてある。

「えっ!!160分という事は2時間40分」

此処まで一時間だから多峯山から天覚山までは3時間40分も掛かるの?

2時間なんて大嘘だあ〜



西武不動産の看板も古くて嫌だなあ!

水の涸れた貯水池から階段の急登が始まる。

この階段も壊れている。



やがて道が良くなると団地が見えてくる。

北方向を振り返ると其処にも真新しいマッチ箱の様な住宅が並んでいる。

ここらの家は広くて立派。

後で広告を見ると、土地が坪25万円程で買えるらしい。



住宅地のヘリに僅かに残った登山道は良く整備されている。



コウヤボウキが道の両側に咲き誇る。

百名山お爺さんが言っていたスキー場の様な所が見えてくる。

団地の公園となっている様だ。



センブリの花が沢山咲いている。

関東に来てからは初めての出会い。



ロッジの様な造りの家も多い。

庭先をかすめて道が延びている。

飼い犬がきゃんきゃん吠えている。

またヒノキの造林地帯に入り登って行く。



小さなピークに達するが永田山277.5mと書いてある。

こんな所にも三角点がある。

ここは団地の人が良く来るのかとても綺麗に整備されている。

丸太の椅子に今日初めて腰を下ろす。

ヤブ蚊が五月蠅い。

10時59分。



ここが多峯主山から見えていたピークだ。

家内は此処が天覚山だと思っていたらしい。

なんかひどい事になってきた。

これから先の下調べをしていない。

夕べ少し検索したがこのコースの記録は一件だけしかなかった。

水を飲んだだけでとにかく看板が示す「天覚山」に向けて出発。

さてどうなることやら..

続く