冬の里山 筑波山 2006/12/31

− 日本百名山で一番低い筑波山 でも素晴らしい眺望に感激 −

2006年の山歩き納めに、何処の山に登ろうかな?

今年最も多く登った高尾山にしようか?

大岳山も良いなあ...

ふと筑波山に未だ登っていない事に気が付く。

坂東無双の名嶽と言われる筑波山は深田久弥の日本百名山にも選ばれている。

しかし標高は876m。

日本百名山は1500m以上の山を選定しているはずだが、筑波山は別格なんだろう。

筑波山周辺の地図

朝7時発のつくばエクスプレスに乗れる様に出発。

大晦日の都内はとても静か。



秋葉原でJRを下り一旦外に出ると、つくばエクスプレスの駅がある。

つくばエクスプレスは首都圏新都市鉄道株式会社が運営している。

JRが運営しているものとばかり思っていた。

長いエスカレーターを4本も乗り継ぎ、地下に下っていく。

大江戸線も地下深い所にあるが此処はそれ以上。

まるで軍用核シェルターの様。

核戦争が始まったら食料品と水そして懐中電灯を持って此処に逃げ込んだら、しばらくは生き延びる事が出来るだろう。

駅のホームは近代的で広くとても立派だ。

こんな立派なのを造って運営していけるのだろうか?



車内には伊右衛門の宣伝がずらり。何と本物のしめ飾りとミカンだ。

(元旦に乗ったら他の路線にも同じように吊してあった。いったいいくら位作ったのだろう?)

サントリーも力が入っているなあ..

45分で筑波駅到着。

注:つくば駅も広いがトイレが見あたらない。聞けば改札口の中にあるそう。
改札を出る前にトイレを済ます必要がある。

筑波山直通シャトルバスが昨年から出来ている。便数も結構多い。

バスの時間を調べていると、おばちゃんが話しかけてくる。

北千住に住んでいるが筑波へは、万博の時一度来ただけで筑波山に登るのは初めてだそうだ。

12時45分のバスで帰らないと用事があるとか言っていた。

何を思い立って、大晦日にせわしなく筑波山に登ろうとしているの?

8時発のバスに乗り出発。



筑波学園都市のど真ん中を貫く、広い東大通りを行くと右には植物園、左は筑波大学。

とうだい通りと読むのかと思ったら、ひがし大通と読むらしい。

筑波大学は東京教育大学が母体となって1975年に造られた。

車窓から双耳峰の筑波山が段々大きく見えてくる。

30分ほどで筑波山神社入口に着く。



今日は筑波山神社から御幸ヶ原コースで御幸ヶ原へ、そして男体山に登り女体山を経由して帰ってくる予定。

此処から御幸ヶ原までは90分と書いてある。



8時35分出発。

標高215m

ここから山頂まで標高差約660m。

筑波山神社の階段を上っていく。

もう正月の屋台の用意がされている。



立派な山門の手前に変なモニュメントがある。

この地はスイカの産地でスイカを祀ってあるという。



山門には埴輪の様な古武士像

この山門は神社には似つかわしくない。

お寺の仁王門の様だ。

調べてみると廃仏毀釈前には確かに仁王門であって立派な仁王さんが守っていたらしい。

しかし神社に仁王ではおかしいのでこの古武士像に置き換えたという。

元居た仁王さんは、今ではつくば市の東福寺に移されているそうだ。



イザナギ、イザナミの両神が祀られている本堂はとても立派だ。

大きな鈴が印象的。

日枝神社、春日神社、厳島神社の社殿があるというがどれがどれだか?

今年最後の山歩きの無事をお祈りする。



8時43分登山道に入る。

ここから御幸ヶ原まで2q。男体山まで2.3q。

関東ふれあいの道の看板には健脚向きだと書いてある。

あれっ!REIKOさんのレポートではそんな事書いてなかったよなあ..



この看板の青いコースをケーブルカーの軌道にそって登って行く様だ。



最初は岩は多いが緩やかな道。

茶店跡の広場に出る。

9時始発のケーブルカーが登ってきた。



途中から急登になってくる。

若いカップルと叔父さん達が追い抜いていく。

家内は久しぶりの急登でペースが上がらない。



立派な杉の大木が道のあちこちにそびえている。



9時32分に男女川iに到着。

冷たい水で顔を洗う。



前を行く人達に付いていこうとするとかなりのハイペース。

汗がしたたり落ちてくる。ジャンパーを脱ぎ上着まで脱いでシャツ一枚になる。



嫌な歩幅の小さな階段を上りきると展望台の横に出る。

霞ヶ浦が大きく広がっている。



直ぐ向こうに女体山のロープウェイ駅が見えている。

9時57分御幸ヶ原到着。

朝早い為か広い御幸ヶ原には殆ど人が居ない。



男体山、女体山への古い道標



北の方に霞んではいるが日光男体山の素晴らしい姿が見える。



景色を楽しんで左に見える男体山を目指す。



朝のバス停で会ったおばさんが走り下りてくる。

時間がないのでつつじが丘からロープウェイで来て、これから神社まで下りるそうだ。



霞ヶ浦方向は霞んではいるが素晴らしい眺め。

霞が浦のずっと向こうは 犬吠埼だろうか?



男体山頂上(871m)には筑波男大神(伊弉諾尊)が祀られている。

頂上直下には3階建ての建物があるが、これは筑波山地域気象観測所跡。

明治35年に出来て100年間気象観測を続けてきたがアメダスの整備で閉鎖となった。

しかし昨年から筑波大学教授が気象観測ステーションを立ち上げインターネットで気象データを配信しているらしい。



西遙か向こうに目をやると霞んではいるが富士山が!

その右には奥秩父の山か?南アルプスか?冠雪の山々が見えている。

その更に右には浅間山だろうか?

しかし其処までの間はずっと田畑が続き、その向こうにはかすかにビル群が..

こうしてみると関東平野の広さを実感する。



御幸ヶ原に引き返し広場を散策。



筑波と言えば...

やはり四六のガマかなあ..

筑波山麓男声合唱団の歌も印象に残っているなあ...



段々と観光客が多くなる。

ロープウェイ駅の方から小さな子供達が走り下りてくる。

ボケ封じの地蔵さん。

最近よく物忘れするので良く拝んで置かなくては..



女体山頂上への道は緩やか。

カタクリ園やブナ林が保存されている。



筑波山では大石も神様らしく祠が沢山祀られている。

遙か向こうに最近評判の悪い風力発電の風車。

発電量が少ないと言って、筑波大の先生が訴えられていたっけ..



これはガマ石

口の中に小石を投げ入れる。

3回目でうまくいく。



これから女体山山頂に行き橙色の白雲橋コースを下りる予定。



女体山頂上は876m香川の女体山774mより少し高い。

女体山御本殿があり、筑波女大神(伊弉冉尊)が祀られている。



祠の裏に日本百名山の石柱。その横に二等三角点。



三角点の上には大勢の人が登った為ツルツルになった岩場がある。

昨年のREIKOさんのレポートでは無かった真新しい木の柵がある。

これなら安心して風景を楽しめるがなんだか味気ない。

もしかしたら初日の出を見に、暗い内にやってくる人の転落防止用かなあ?



西には男体山。

東南にはつつじが原の駐車場。



南西の広い田園地帯。その向こうに見えていたはずの富士山は既に霞んで見えない。



この山頂で昼食の予定だったが此処は神聖な神社の境内で飲食禁止と書いてある。

仕方ないので下山開始。

11時8分。

最初から鎖がある。

ゴツゴツ岩の下りだ。

裸電球がずっと点いている。

初日の出を見に来る人が多いのだろう。



岩場を下りきると大仏岩。

本当に大仏さんそっくり。

ここから筑波山神社まで2.6q



北斗岩の中をくぐり下りていく。



平坦な所に来ると素敵なブナ林



右は背面大黒岩

大黒さんの後ろ姿?



出船入船岩 二隻の船がすれ違っている様に見える。

見上げるとパラグライダーが大空を舞っている。

気持ちよさそうだなあ〜

何処から飛び立ったんだろう?



振り返ると女体山山頂がおにぎり山の様。

山頂の人達も見える。

大きな平たい石がありベンチもあるので此処で昼食。

11時40分。



昼食をゆっくり楽しみ下山開始。

また、急な岩場となる。

右は母の胎内くぐり。

岩の下をくぐり抜けていく。



でっかい岩は高天原



岩の上に上がると祠がある。

此処から下りるのは少しスリルがある。

弁慶の七戻り岩



弁慶も怖さに七度引き返したと言うが、上の大岩が何故落ちてこないのか不思議。

見上げると今にも落ちそう。

立派な檜の大木。



12時6分弁慶茶屋に着く。

しかし茶屋は跡形もない。

昨年のレポートには立派な茶屋があったのに...

調べると去年の9月3日に廃業したらしい。

何と270年も続いた由緒正しい茶屋だったそうだ。

老齢と後継者が居ない為泣く泣く廃業したとか..

誰か継いでやってみようと言う人は居なかったのかなあ?残念。



ここから、おたつ石経由でつつじヶ丘にも降りる事が出来るが、私達は白雲橋コースで筑波山神社へ向かう。

綺麗に整備された道だが嫌な岩場が続く場所もある。



途中無造作に倒されていた二十三丁の丁石。

下りが膝に応えてきた頃に大岩の祠に着く。

此処で少し休憩。

男体山山頂でお会いした大きな黒犬を連れた夫婦が追いついてくる。

かなり疲れている模様

「神社まであとどのくらいでしょうか?」と聞いてくるが私達もはっきり解らない。

「後500m位と思いますよ」と先に立つ。



つつじヶ丘からの道との合流点。

13時4分。

可愛い子供連れの男性が登ってきてどちらへ行こうか思案。

小さな女の子が「どちらに行くの?」と可愛い声で聞いている。

今から頂上まで行くつもりなのかなあ?



立派な杉の大木。



登山口に13時12分到着。

愛宕山神社に立ち寄る。



また筑波山神社に立ち寄り今年一年無事に山歩きが出来た事を感謝。

来年も無事で楽しい山歩きが出来ます様に..



山門の今朝と反対側の古武士像



変な物があると近寄ってみると、筑波万博の宇宙の卵。

つくば科学万博が開催されたのは1985年。

21世紀の未来への夢をテーマにしていたと思う。

バブル絶頂期で科学の力が素晴らしい21世紀を切り開いていくと信じられていた頃だった。

私は丁度松山に住んでいた。

私の人生で最も意気盛んな頃だった。

万博では、コンピューターゲームやパソコンによる3Dゲーム。

そして未来の通信としてNTTのISDNが展示されていた。

20年後にISDNが過去の遺物となりインターネットの世界がこんなにも広がり、

パソコンが一般の生活にこんなにも浸透するとは誰が想像した事だろうか。

FTH(ファイバー ツー ザ ホーム)が夢物語として言われ始めていたが

まさか各家庭に光ネットが張り巡らされる時代がこんなにも早く来るとは..



バス停まで下りて見上げると、青空の下、男体山と女体山頂上がクッキリとそびえている。



公衆電話のガマに別れを惜しみ13時40分のバスで帰宅。

自宅には5時前に着く事が出来た。

今年の最後を締めくくる気持ちの良い山歩きとなった。

来年ものんびり山歩きを続けたいと思う。