里山の春 一の森 剣山高 次郎笈 2007/5/15
バイカオウレン咲き乱れる穴吹川源流 ブナが芽吹き始めた祖谷川源流の谷

− 一の森 〜 剣山 〜 次郎笈 −

徳島に帰って未だ剣山を歩いていない。

以前徳島に住んでいた時は、四季折々に訪ねた想い出の山だ。

一ノ森ヒュッテが開設70年になり記念行事も行われていると言う。

新しい管理人の内田さんにも是非お会いしたい。



開設当時の一の森ヒュッテ 徳島新聞より

朝6時に神山、木屋平経由で見ノ越に向かう。

途中数多くの場所が工事中だった。

休日や朝早くは工事をやっていないので良いが帰りには大変だろう。

7時40分見ノ越残着。

こんな平日に登山客はいないだろうと思ったが既に5台ほど駐車していた。

見ると高崎、多摩等の県外車ばかり。やはり人気のある山の様だ。

湘南ナンバーの車でこられたご夫婦が登山準備をしていた。



7時56分出発。



剣神社の簡易宿泊所はもう使われていないと思っていたら

今年の3月にふたりで山歩きのmasakoさんが宿泊されたとの事。

ミヤマキケマンが出迎えてくれる。

今日は曇りの所為かとても寒い。



このピンクはヤマエンゴサク?ヒメエンゴサク?



?ネコノメソウ。葉はヨゴレネコノメに似ているが花は違うみたい?

蘭ちゃんにイワボタンと教えて戴きました。

ヨゴレネコノメはイワボタンの変種だそうで、道理で葉が良く似ている。

ミツバテンナンショウが咲き始め。



リフトの下を潜ってから左へと行く。

右の散策路は帰りに歩く事にする。

あれっ!祖谷川と書いた標識が出来ている??

見の越を見下ろすと観光バスがやってきて大勢が下りている。



シロモジが咲き始めている。

他の山に比べて随分遅いなあ。



シロバナネコノメ発見。

この花も先日行った薬研谷ではもう散っていた。



遊歩道との合流点到着。

コミヤマカタバミが可愛い。

見上げると、生憎山頂付近は曇っている。



西島駅に8時40分着。

少し休んでいるとリフトが動き始め沢山登山者が下りてきた。

最初にやって来たのは腰が70度に曲がったお爺さん。

しかし大きなリュックを背負ってしっかりとした足取りで登って行った。

観光客にどのルートが一番疲れないか?等と聞かれ説明していて出発が遅れた。



塔の丸の向こうの三嶺はガスって見えない。

リフト奥から尾根道を登る。

丸笹山を望む所に沢山の杖が準備されていた。



刀掛の松8時59分着。



貞光、穴吹、祖谷川源流案内図が出来ていた。

今日は最初にお花畑経由で一の森に行くので左に曲がる。

樹木には鹿避けのネットが被されている。



キレンゲショウマの咲く谷筋から本剱神社へと向かう分岐の所で大きく崩壊している。

石灰岩の石が敷き詰められているがこれは崩落してきた岩を砕いたものか?

少し先に下の道に降りる道が造られているがそのまま真っすぐ行く。

岩室神社不動の岩屋の道を下って行く。



キレンゲショウマの保護用のロープと鹿避けのネットがあるが大きく崩れている。

おくさりの辺りも崩壊が酷い。鎖が落ちてきて道に横たわっている。

これでは鹿害以前にキレンゲショウマの株も押し流されて残っていないのでは?と心配する。



ピンクのヤマ(ヒメ)エンゴサクが斜面に咲いている。



両剱神社まで下りてくると剱山本宮奥参りのマップがあった。



一の森に向かって進むとシロバナエンレイソウの群落がある。

沢筋にさしかかると穴吹川源流の谷の標識が新設されていた。

ここが日本有数の清流で知られる穴吹川の源流なのか。



岩肌を伝わって清らかな水が流れ落ちている。



沢の岩肌には?ネコノメソウがビッシリと咲いている。



山肌のビッシリ生えた苔に白い花が目立つ。

これはバイカオウレンだろう。



以前、熊野古道で3月下旬に見た事があるが、剣山では今が盛りの様。

随分と春がやってくるのが遅い様だ。

バイカオウレンの葉は高知県立牧野植物園のロゴマークになっている。



どうも見た感じが違うと思って調べてみるとシコクバイカオウレンというらしい。

「四国のものは花弁の舷部がコップ状、花柱は強く反曲する」との説明だが

花弁の舷部って何処?

もっとよく調べると白い花弁の様なのは萼で花弁は花の中心にある黄色の部分との事。

成る程コップの様な筒型になっている。

しかし花柱が湾曲しているというのは何処の事か解らない。



お花畑まで来るとシロバナエンレイソウ以外はみんな蕾。

左不明の蕾。右はびっしりと生えているヤマシャクヤクの蕾。

もう少しすると見事だろう。



左はツクバネソウかな?

右は?カニコウモリかな?



シコクブシは以前より減ったみたい。

バイケイソウが所々に..



イワボタンが一面に生えていて黄色が綺麗。

標高が高くなるとバイカオウレンの花弁の舷部が黄色ではなくて緑色をしている。

成長によって色が変わるのか?



9時54分。剣山からの道との分岐に着く。

右を見ると次郎笈。曇っているのが残念。



直登コースをエンヤコラと登り一ノ森頂上10時12分着。



一ノ森ヒュッテを見下ろして三角点に向かう。

三角点は頂上と違うピークにある。



久しぶりの三角点で眺望を楽しむ。



次郎笈が正面に端正な姿を見せている。

堂々として立派な山容だ。



直ぐ右にはなだらかな頂上の剣山。



三角点から槍戸山の方向に進む。

大岩がありコーヒーブレイク。

この場所は家内が好きな場所。



大岩からの剣山と次郎笈。



岩の割れ目に咲くのはマイズルソウかな?



シコクシラベの白骨林を眺めたりして過ごす。



ピュッテに向かう。

見慣れた景色が懐かしい。





内田さんにお会いしたいと思っていたが今日はお休み。

残念だなあ。



ダケカンバの林は芽吹き前。



またバイカオウレンの咲き乱れる中を剣山に向かう。





左はイワタイゲキ?

二の森に向かって登って行く。



ダケカンバの木肌が美しい。



シコクシラベ(シラビソ)保護林の看板。

シコクシラベは1500m以上の石鎚山系や剣山山系に多い。

ウラジロモミより標高が高い所に生える。1500ないし1800mでは混在する。



二の森神社を越えて少し下ると剣山に向けて緩やかなスロープとなる。



途中のピークに経塚森の看板。

初めて見る看板だ。



剣山に向けて登って行くとシコククマザサの中にショウジョウバカマが咲き始めていた。



頂上手前の板張りのテラスに着く。

丸笹山から赤帽子山への稜線が目の前。

眼下に木屋平の集落が見える。





剣山頂上方面にうごめく物がある。

何と大きな号令をかけながら行進していく人達がいる。

みんなジャージを着ているのでどこかの学校の生徒か?



左は一ノ森方向。

右下に剣山頂上ヒュッテ



測候所は誰か来ているのか窓が開いていた。

11時18分剣山頂上着。



次郎笈に向かうとまた大勢の団体。

クラブツーリズムの人達だ。

次郎笈、剣山コースは何時も予約が満員の盛況らしい。



少し天気も回復してきた。

三嶺の姿が確認できる様になった。

右は塔の丸。



トラバース道への分岐で元気な男の子達が登ってきた。

応神中学校の三年生らしい。

礼儀正しくて可愛い。

11時37分分岐着。



何時眺めても素晴らしい縦走路。



三嶺への分岐で少し休憩。

剣山を振り返る。



此処にもショウジョウバカマが咲き始めている。

丸石から三嶺への縦走路。



12時15分、次郎笈頂上到着。

頂上には男性二人と4人のお年寄り。

そして最近引っ越してきて四国の山は初めてという夫婦の3組だけ。



頂上は風が強く寒いので、三角点の向こうの岩場で食事にする。

段々天気も良くなりいい気持ちでのんびりと過ごす。

剣山の頂上には大勢の団体がうごめいている。



剣山の左は丸笹山。



三嶺への縦走路が魅惑的に続く。

三嶺の左には西熊山や天狗塚が見える様になる。

先日の三嶺〜天狗塚の縦走が思い出される。



12時45分下山開始。

シコクシラベの横を下りていく。



13時15分分岐に到着。

男女5人のパーティが西島駅の方からやってくる。

次郎笈を眺めてため息。

「此処まで来たからには登りたいなあ..」等と言っているか時間が遅いので断念する模様。

記念写真のシャッターを頼まれる。



何の木だろうか赤い芽吹きが美しい。



西島駅に向けてトラバース道を行くがかなり道は痛んでおり石灰岩の小石で補修されている。

ヤマエンゴサクが沢山咲いている。



山肌にワチガイソウの群落



次郎笈を振り返る。

前方には丸笹山。



大剣神社の御塔石はいつ見ても立派。



此処も大きくガレていて石灰岩の小石で補修しているがこの石は崖の上部の方にも沢山見える。

大きな岩が崩れてきたのだろうか?

此処では未だスミレが元気。

右の花は始めてみる花?

シベが十文字で変わっている。



山中に咲いているこのイワボタン。


「イワボタンは上部の苞と萼裂片は黄緑色で葯は黄色。」と有りますが

此処のイワボタンは上部の苞と萼裂片まで黄色が強く輝いて見える。

谷間が黄金色に染まった様だ。



ヤマエンゴサクとシラネセンキュウに似た小さい花



倒木の下にサイゴクサバノオが咲いていた。

花(萼)が開いていないが萼の中のオレンジの花弁の色が透けて見えて可愛い。



此処にもシロバナネコノメが群生。



葯が全て深紫色の花もあった。

谷筋になると新緑が目立つ様になる。



13時56分西島駅に着く。

大勢の登山客はみんなリフトで下りる。

ツアーは時間の制限があるから効率重視だね。

少し下るとオオカメノキが咲きかけている。

咲きかけの花は黄色がかって白くない。

振り仰ぐと頂上小屋が見えるほど天気が回復していた。





遊歩道を下って行くとコミヤマカタバミが多い。

中にピンクの物もありとても可愛い。



サワグルミの大木。



雰囲気の良い谷筋は新緑の萌葱色。



祖谷川の源流谷の石碑。

ここから西祖谷、東祖谷の深い渓谷を流れる祖谷川が始まっているのか..



源流の谷はとても良い雰囲気。



ブナの巨木が多くなる。





ブナの林下にはピンクのコミヤマカタバミ。



標高が低くなるとブナの新芽が出始めている。

一番良い季節。



ニリンソウが咲き始めている。

リフト下トンネルの横で写真を写していると、中学校の生徒がリフトで下りてきて次々と挨拶してくれる。

ほんと可愛い子供達だ。

中には「リフトはとっても怖いです〜」なんて言って下りていく子もいる。



タチツボスミレやフウロケマンの咲き乱れる中を下って、15時丁度駐車場着。

トイレに行っている間に応神中学校の生徒が下りてきて2台のバスが発車。

工事中が気になるので私達も貞光経由で帰る事に。



途中ゆうま温泉によると半田そうめんのサービス。

のんびり湯に使って18時前に家に帰る事が出来た。

久しぶりに剣山、次郎笈を歩く事が出来て大満足。

ピンクのコミヤマカタバミが可愛かった。