里山の夏 白馬乗鞍岳 2437m 2006/8/5〜6

− 白馬岳へのゴールデンルートをほんの少し体験 −

いよいよ待ちに待った夏休み。

今年は梅雨明けが遅れ、このまま夏が来ないのではないかとも思われた。

所がいつの間にか梅雨が明けたと思ったら、突然の猛暑。

昨日は38度あったとニュースに出ていた。

今回の行き先は、栂池の白馬乗鞍岳。そして白馬五竜の小遠見山。

昨年は、白馬大雪渓八方尾根の素晴らしい花園を楽しんだ。

そして谷川岳にも行った。

その時、栂池自然園が素晴らしいと言う話を聞いた。

今回は少しの山歩きと、栂池自然園とアルプス平の花園を楽しむ予定。

白馬近辺の地図

例によって、会社契約のクラブが保有しているホテルの食事無しタイプ。

一泊2100円なので手軽だが、食事が少しやっかい。

実は、夏休み後半に贅沢旅行を控えている為に、節約しなければ..

自家用車で行けば問題ないが、公共機関だと行動に制約がある。

8時に新宿から京王バスで白馬駅へ。

往復で8500円は安いが、流石夏休み初日の中央高速は込んでいる。

ウトウトしていて2時間半ほど経って目が覚めたら、何と未だ八王子の手前。

山梨に入ってから快調にとばすが、白馬12時30分の予定が、14時を過ぎていた。

最初の予定では今日中にアルプス平を見学するつもりだったが中止。

駅前のスーパーで食料品を買い込んで、ホテルの送迎バスを待つ。



大王ワサビ園を過ぎて信濃大町。お祭りの準備をしていた。



白馬駅に着くと目の前にでっかい白馬連峰が見えるが、午後の為ガスっている。



15時55分ホテルのバスが迎えに来る。チェックインして、ホテルの近所の散策。



ホテルの裏は白馬乗鞍スキー場となっていて、牛や羊?が放牧されている。

のんびりと、信州の夏の夕暮れを楽しむ。



渓流沿いにはボタンズルやハクサンフウロが咲き乱れている。



広い温泉に浸かって(開け放たれた窓からはゲレンデや山並みが一望出来る)

日が暮れていく時間の移り変わりをじっくりと楽しむ。

スパも利用できるが、水着の用意をしていない。残念。

夕食はレストランや和食堂も利用できるが、もっとも安いバイキングがが4700円。

もったいないので、スーパーで買ってきた一寸豪華なお寿司や、お総菜そしてキンキンに冷やした地酒で夕食。

8時半には熟睡。



4時には目が覚めて、朝風呂を楽しむ。



朝日に照らされて白馬鑓ヶ岳が輝いている。

今日は最高の天気になりそう。



6時に呼んでおいたタクシーで出発。

6時30分のゴンドラの出発時間まで散策。



一番乗りだったが、その内にドンドン集まってきた。

地元のおじさんが望遠鏡で白馬岳の山頂を見せてくれる。

大勢の登山客が見える。

5時前には御来光を見る為、鈴なりの人だったとか。

待っている間に色々な人と話をするが初老の夫婦も多い。

私達の様に白馬乗鞍岳、白馬大池まで行く人。

そして白馬岳まで縦走して白馬山荘に泊まる人。

毎年来ているという人が多い。

先頭のゴンドラで出発。

栂池パノラマウェイは標高831mからゴンドラで20分ほど。

ロープウェイに乗り換えて8分。

標高1829mまで行く事が出来る。

駅やホテルで売っている割引券(栂池自然園入場料込み)は2900円。

ゴンドラはゆっくりゆっくりと登って行く。





ドンドンと眺望が開けてくると杓子岳2812m、白馬槍(鑓ヶ岳)2903mの厳しい山容が正面に見えてくる。



7時4分自然園駅1829mに到着。

一番乗りは気持ちが良い。



駅から自然園まで、クモマニガナやシロバナクモマニガナ、トリアシショウマの咲き乱れる道を登る。



でっかいオニシモツケが沢山渓流の上に咲いている。



自然園に着くと大勢の人が居る。

此処のロッジに泊まった人達だろう。

白馬岳が正面に見える。



おにぎり弁当を仕入れて、出発の準備。

白馬大池まで標高差600m。距離4q。

これは楽勝だと思う。

しかし、ゴンドラ駅の望遠鏡おじさんが、私達の格好を見て

「白馬乗鞍までは、岩がゴロゴロして厳しい。まあ、挑戦するつもりで登ってきなさい」

と言った言葉が少し引っかかる。(が、いつもの事と聞き流した)

スポーツドリンクやお茶の500ogを5本持ってきた。

補充しようかと思ったが、まあ良いかと出発。これが大失敗。

右手上に白馬乗鞍岳の山頂らしきものが見える。

なだらかな稜線にこれはラクチンそうと思うが、実は山頂はこの奥だった。



7時17分出発。自然園から右へ少し下って、山道にはいると突然マイズルソウやツマトリソウがビッシリと咲いている。

小さくて可愛い花だ。

秩父や奥多摩では5月頃咲いていたのに、此処では遅い春だなあ。



モミジカラマツやオオバミゾホウズキも目を楽しませてくれる。



左不明花とゴゼンタチバナも今が盛り。



?とミヤマオトギリ



シロバナクモマニガナがさわやかな感じ。



でっかい葉っぱは水芭蕉の花の跡。

しばらく行くと、樹林帯を抜けて見通しが良くなる。



岩道になるとコイワカガミが満開。

今年はもう見ることが出来ないと思っていただけに感激。



ミツバオウレンが時々顔を見せる。

イワイチョウが元気に咲いている。

この花も初めて見る花。





アカモノがビッシリと咲いている。

四国の仲間が西赤石でこの花を楽しんでいるのを指をくわえてみていたが、こんな所で会えるなんて!

急坂も気にならないほど嬉しい。



真っ赤な花はベニバナイチゴ。

やはり赤い実を付けるらしい。




イワイチョウがまぶしく輝いている。

直射日光がキツイ。

風もなく猛烈に喉が渇く。



ぐんぐん登って行くと、突然視界が開けて、白馬岳から杓子岳、鑓ヶ岳が顔を出す。



この赤い実は何だろうか?

低い枝に一杯トゲのある実を付けている。



ホツツジの花が咲き始めていた。





明るい道になるとアカモノがにっこり顔を出す。



ナナカマドの白い花が稜線に沢山咲いている。



カミキリムシが岩の上に。踏んづけちゃうよ。

PONちゃんから、松の大害虫「マツノマダラカミキリ」と教えていただきました。

そうと知っていたら踏んづけちゃえば良かったかな?

ツマトリソウも夏の陽を浴びて輝いている。



小さな第一雪渓を渡る。

アキノキリンソウが少し咲いていた。



木道に飛び出すと、天狗原の湿原。

8時27分着。



ワタスゲが湿原に満開。

今までこんなに見事に咲いているのを見た事はなかった。



正面に白馬岳をを実ながら木道を行く。

正面の雪渓を越えていかなければならない。



チングルマが咲き終わって実になっている。



可愛いリンドウはタテヤマリンドウ。

小さくてフデリンドウの様。

色が涼しげでとても綺麗。



このブルーベリーの様な実も沢山あった。



一輪だけ咲き残っていたチングルマとワタスゲ



右はエゾシオガマかなあ?



風吹大池との分岐を直進する。

ここにもベニバナイチゴが咲いていた。



この実は何の実?ショウジョウバカマの様に見えるが..

大きな岩がゴロゴロしてくる。

飛び石の様に渡ったりよじ登ったりしていく。



ミツバオウレンとミヤマホツツジ



岩場では休んでいるパーティが多い。

今朝登ってきたのは私達が最初なので、山荘に泊まった人達だろう。



振り返ると天狗原の木道が小さく見える。



第二雪渓を登るがアイゼンは必要ない。



またデカい岩を越えていく。

一杯の人をかき分ける様に前に行く。



岩場の影にキバナシャクナゲがひっそりと咲いていた。

メインルートからはずれているので、殆ど目に留まらない場所に咲いている。

上品な美しさがある。



岩場を越えると、第三雪渓に着く。

此処は傾斜もかなりあり慎重に行く。

家内はツアーの小パーティに囲まれてしまった。

第一雪渓の時から一緒に登ってきた為に、ツアーのメンバーと勘違いされて、

整列させられて登って行く。



左は去年から気になっている黒い花?




雪渓を越えると急坂があり登り切ると、岩の多い頂上部に着く。

右の岩のケルンには銘板が埋められている。

此処が本当の頂上かも知れない。



イワギキョウ(チシマギキョウ?)が咲く岩道を行くが歩きにくい。



ミヤマコゴメグサが岩の間に咲いている。

右は白いキキョウ?

調べたら中部以北の高山に咲くトウヤクリンドウでした。

初めて見る花です。

クリーム色の花を付ける唯一のリンドウだそうです。

出会えて良かった。



だだっ広い頂上部を行くと大勢の人。

白馬大池から下山してくる人達も多い。



ケルンの前で記念撮影。

9時54分。



更に先に進んで、白馬大池の手前まで行く。

ここまで来ると殆ど人はいない。

ツアー客は、白馬乗鞍岳までのコースらしい。

白馬大池に沢山の人が見える。

テントも沢山張られている。

丁度10時。

左手の大きな雪渓のある山は小蓮華山2769m。

直ぐ左にちょこんと白馬岳が見えている。

白馬岳へはあの山を越えていく。

ここからは厳しい登りもなく3時間ほどで着くという。

私達も次は白馬山荘まで行って美味しい生ビールを飲んでみたい。

白馬大池の向こう左は雪倉岳。右奥は朝日岳。

こんなにはっきり見えるのは珍しいらしい。



小蓮華山の左には白馬岳がおいでおいでと手招きしている。

何時か縦走して行ってみたい。

白馬乗鞍岳や小蓮華山、雪倉山などはなだらかな山容だ。それに比べて白馬連峰は、厳しい姿を見せている。

白馬連峰の山々は、2億年以上も昔の古生層という古く硬い岩石からできていて、

しかも長い年月風雨にさらされてきた歴史を持つのに対し、

乗鞍岳から北や東の山は、180万年前という、ごく新しい時代にできた山だからだ

岩に座って昼食にするが、時間が早いのと、暑さの為に食欲がない。

持ってきた水は既に4本がカラとなっている。

あのとき2本ほど補充しておけば良かった。

ジリジリと照りつける直射日光と気温の高さに、いよいよ喉が渇いてくる。



10時22分帰る事にする。

今から帰れば栂池自然園をゆっくり見て回る事が出来る。

ケルンを目指してハイマツの絨毯の間を登って行く。



こんな所にハクサンシャクナゲが咲いている。

淡いピンクが可憐だ。



ミヤマダイコンソウやイワキキョウの咲く岩道が段々足に効いてくる。

ハクサンコザクラが咲いていないか探しながら歩くが見つける事が出来ない。



タカネバラの鮮やかな花で一時疲れを忘れる。



雪渓の手前でアイゼンを付ける。

登る時は気にならなかったが下るとかなり急傾斜だ。

一度思い切り滑った。

オオヒョウタンボクが咲いている。



ミヤマツボスミレが咲き始めていた。



岩をいくつ飛び渡りそして飛び降りた事だろう。

渓流までやってきて冷たい水で顔を洗う。

素晴らしく冷たい水だ。

ここで、冷たいビールを飲んでいる人達に出会う。

私達の手持ちの水は既に切れて、喉が焼け付く様。

余程もの欲しく見えたのかマグカップに一口ビールをご馳走して戴く。

たった一口だが美味しくて生き返った様。



所が、これがいけなかった。

脱水症状で空腹な為、急に酔いが回り、樹木帯の下りで気分が悪くなった。

岩場で見事にスッテンコロリン。

リュックがクッションになって腰を打たなかったが、弾みで前に一回転。

後ろから来た若い女性が吃驚して声をかけてきたが、恥ずかしいだけで怪我は無し。

小さな小さなアカバナ?が咲いていた。

この渓流に飛び込みたくなった。



12時55分、やっと自然園まで帰ってきた。

真夏の岩ゴロゴロ道恐るべし!!

クタクタになってしまった。

足首が痛いぞ!

スポーツドリンクを二人で3本一気に飲む。

おまけに、隣の人が飲んでいる生ビールの魅力に負けて、私も一杯。

さあこれから自然園に出かけようと思うが、目がぐるぐる吐き気がする。

日影で一休み。

栂池自然園