カナダの旅 レイク・ルイーズ 
プレイン・オブ・ザ・シックスグレイシャー
2007/6/19
          3464mビクトリア山に向けて氷河の中を歩く

カナディアンロッキー花の旅 レイクルィーズ ビクトリア氷河

氷河を抱いた山々の麓に、エメラルド色に輝く湖。

レイクルイーズは、その美しさから「カナディアン・ロッキーの宝石」とも言われている。


さて今日はカナディアンロッキーで一番人気のあるレイク・ルイーズへ出かける予定だ。

レイク・ルイーズはビクトリア女王の娘ルイーズ・キャロライン・アルバータ王女にちなんで名付けられた湖。

このルイーズ王女はアルバータ州の州名にも名を残こしている。

先住民族のストーニー族には「小さな魚の湖」と呼ばれていた。

不思議な青緑色の湖水をたたえた宝石の様な氷河湖らしい。

期待に胸をふくらませて6時30分B&Bを出発。

今朝は4時過ぎに目を覚ますともう外は明るくなっていた。

野生動物に出会わないかと周辺を散歩したが生憎出会う事は出来なかった。

簡単な朝食を部屋で済まして、おにぎりとサンドイッチそしてコーヒーを用意した。



バンフの街は朝早くから大勢の人が歩いていてナンと道路工事がもう始まっている。

高速道路を一路レイク・ルイーズを目指す。

カナディアンロッキーの国立公園に入るのには入園料が必要。

昨日バンフの街に入る手前のバンフ国立公園のゲートで入園料を支払いチケットParks Feeを車のウィンドウに張ってある。



入園料は大人一人8.9ドル/日(一度払うとどの国立公園にも入る事が出来る)

ファミリーチィケットは車一台7人まで17.8ドル。

5日分なので約90ドルを支払った。結構高い。

しかしこのお金で国立公園が自然豊かなまま整備保存されていると思えば安いかも。

年間だと一人62.4ドルと安くなる。

通過するだけのトラックなどは入園料は必要がない。

しかしながら公園内はノンストップ。停まる事は出来ない。

また、一般車もゲートを通らずに走る事が出来る。

カナダは何にしても性善説。

取り締まりの人も居ない。

しかしもし見つかると罰金はすごい金額らしい。

犬を放しただけで2000ドルだから...いくらになるか想像付かない。

ちなみに子供なども親の監視下を離れて一人で外出する事は出来ない。

親の管理監督責任が非常に重いらしい。

「一人でお使い」などトンでもないらしい。



ガラガラに空いたトランスカナダハイウェイを走るとやがて目の前に真っ白な山々の姿が見えてくる。



正面にキャッスルマウンテン2766mがそびえる。

西洋の城に似ていることから1858年ジェームス・ヘクターによって名づけられた。

戦後アイゼンハワーが訪れた事からアイゼンハワー山と改称されたが

地元の要求でまたキャッスルマウンテンと呼ばれる様になった。

このハイウェイ側から登ると往復でゆうに12時間が必要だそうだ。



近づくとボー川の向こうにキャッスルマウンテンが古城の様にそびえている。

標高が高くなると天気が悪くなり強い雨が降り出した。

ボウ川の流れに沿い山の奥に向かっていく。

やがて2車線になり大規模な道路拡張工事が進んでいる。

朝早くから大勢で工事をしている。大型建設重機は女性が運転しているのが多い。

高速道路に乗ってから約1時間でジャンクションを降りてショッピングモールを過ぎてルイーズ湖に向かう。

此処には昔、古い(ナローゲージの)鉄道が走っていたらしい。

途中モレイン湖への分岐を右に行くと突然大きな駐車場に着く。

8時丁度。



駐車場には立派なトイレがあるが掃除中で使用できない。

早くも駐車場には車が一杯停まっている。

小川沿いに林の中を進むと突然視界が開けて素晴らしいホテルが現れる。

このホテルが有名なシャトーレイクルーズ。

日本からツアーで行くとこのホテルに泊まる事が多いらしい。



家内はカナディアンロッキーに行くというのでデパートやスーパーで色々服を買っていたのにいつもながらの地味な服。



ウェルカム レイクルイーズの案内板で今日のルートを確認。

青く見える湖から氷河の削った谷間を歩きビクトリア氷河の真下まで行く。

此処が標高1735m。

ティーハウスが標高2100m。

氷河にタッチできるビューポイントが2250m。

往復約15.6qのコースだ。



湖の南端からビクトリア氷河を望むがガスでビクトリア山の上の方は見えない。

しかしながら素晴らしい景色だ。

これで晴れていてビクトリア山や氷河が青空の下に見えたらどんなに素晴らしい事だろうか。

湖の色も晴れるとまた素晴らしい色となるのだろう。

湖と氷と岩が織りなす素晴らしい世界。

これからあの奥深くまで入って行くのだと思うとワクワクすると共に緊張する。

この湖は冬には完全凍結してスケートが楽しめるらしい。

正面渓谷の左がフェアビュー山(Fairview Mountain) 2745m。

右が二ブロック山(Mt Niblock) 2976m。



沢山の観光客の中で記念撮影。



1882年にカナディアンパシフィック鉄道の測量技師トムウィルソンさんが馬でボウ谷を越えて、

ストーニー(インディアン)族が「lake of little fishes」と呼ぶこの湖にやって来た。

トムはこの湖をエメラルドレイクと名付けた。

そして1884年にプリンセス・ルイーズにちなんでレイク・ルイーズと呼ばれる様になった。

トムはその後ヨーホー国立公園でも美しい湖を発見その湖をエメラルドレイクと名付けた。

そして最初のchalet(丸太小屋)が1890年に建てられた。

この小屋が今のシャトレーレイクルイーズの創建である。

しかし最初の訪問者は1000年も前だった。とか何とか書いてあるが私の英語力では理解するのに時間が掛かりすぎる。

隣には雪の森の住人達としてシマリスやホーリーマーモットについて書いてあると思う。



湖からは小川が流れ出ている。

右は湖に住むlittle fishの説明かな?

カナディアンロッキーでは標識も案内板も全て英語とフランス語で書いてある。

日本語で書いていてくれたらなあ..

8時14分ハイキングスタート。



シャトーレイクルーズの前を通り湖の東湖畔を歩いていく。



これから向かうビクトリア氷河が湖畔に写り感動的。

これから先は熊の世界ですよとの看板。

人間は熊の世界を邪魔しない様に入らないといけないとかナンタラ..

カナディアンロッキーでは野生動物には30m熊には100m以内に近づいてはいけないとのルールがある。

そんな事言っても突然現れたらどうしよう?

昨日バンフで9ドルも出して買った大きな熊鈴は忘れてきた。



山裾にはワイルドストロベリー(オランダイチゴ属)が雨に濡れて花を咲かせている。

振り返るとシャトーが見送ってくれている。



湖岸の道は快適。

グラウスベリー(コケモモ科)が花を付け始めている。

ヨウラクツツジによく似ている。



小さなシャクナゲの様な葉の白い花はコモン ラブラドール ティー (イソツツジ属) 

お茶に少し入れて飲むらしい。

蕾のピンクの花は不明。

ピンク プッシートーズ* ピンク色の子猫の手*(エゾノチチコグサ属)かも知れない。



バンチベリー(ゴゼンタチバナ)やワイルドストロベリーの咲き乱れる中を進む。



やがてガスも少し薄れてきて対岸にそびえるフェアビュー山の鋸尾根が顔を出す。

やがて岩道にはいると雪崩危険の看板。

ナンとこれから向かおうとしているトレイルは5〜6月は春雪崩のシーズンであるとの事。

今は6月まっただ中!大丈夫かな?



地図でこれから歩く道を確認。

白く書いてあるのは氷河。

左下の水色の点まで歩くつもり。

こんな所で雪崩にあったら一巻の終わりだ。



一旦岩壁に向かって登る。



湖の北端が近づいてきた。

右の花は調査中。

ラウンドリーブド・アルムルートか?



やがて氷河が岩を削って出来たモレーンと呼ばれる岩や泥が堆積している所に付く。

灰色の細かなモレーンが水に溶け出ている。

この細かな泥が湖に漂う為に、光の反射で乳白色を帯びた緑色の湖となるらしい。



レイク・ルイーズを振り返る。曇っているせいか今日の湖の色は濃いブルーだ。

ホテルの後ろにスキー場のあるホワイトホーンがそびえている。



右側には氷河によって削り取られて出来たた絶壁が続く。

ロッククライミングのメッカだという。



エバーグリーン バイオレット(キスミレ)やアルペイン フォゲットミーノット(エゾムラサキ)が目に付く。



青いスミレはアーリー ブルー バイオレット。

コモン バターウォート(ムシトリスミレ)と呼ばれる青いスミレもあるが葉が違う。

何と土筆が顔を出していた。



突然、雪道が始まる。

今頃雪があるなどガイドブックには書いてなかった。



左はブラックトゥインベリーに似ているが背が低い。

右はレッドアンドホワイトべーンベリーか?

日本のモミジカラマツに似ている。



これも不明花



森林帯を登って行くとレイクアグネスとの分岐



イチリンソウの仲間のフューフラワード アネモネ

白いのが萼片なのも同じ。



ピンクの可愛い花はベアベリーかな?



左にアバディーン山3152mとリフロイ山3423mが顔を出す。



また雪道となりナナカマドの様な灌木の中を登る。

右には大きな岩壁と滝が幾筋も見える。



やっと正面にビクトリア山が見える様になる。

ペインベリーの花が多い。



振り返るとレイクルイーズは遙か下になっている。

フォッスルマウンテンなどの山群がよく見える。右はフェアビューマウンテンの断崖。



キブシの様な花が沢山咲いている。

右はどんな花になるのだろうか?



オキナグサに似ている花だが??



右はユキザサの仲間かな?



ワイルド ヘリオトロープ

カノコソウの仲間



アバディーン山とレフロイ山の間に尖ったザ ミトレ山が顔を出す。



左は氷河の削り取ったモレーンの谷。

右は切り立った堆積土が盛り上がった地層。氷河の為に切り裂かれている。

濡れた岩場が続き鎖が設置してある。

凍った時には危ないかも?

右の崖から絶え間なく水が流れ落ちている。



綺麗なピンクの花はなんだろう?

調べるとサクラソウ科のシューティング スター(流れ星)らしい。

日本には存在しない花の様だ。



正面のビクトリア山に向かってモレーンの中を登って行く。



アバディーン山3152mを後ろに仰ぐ様になる。

ハイカー達を追い抜くとキツい道だとか何とか言っている。

私達を見て「元気ね」と声をかける人もいる。私達が日本人だと解るのかな?

家内もだんだん慣れてきてハローとか挨拶しながら登っている。



ザ ミトレから流れ落ちている様に見えるレフロイ氷河が顔を出す。



森林帯を抜けたので右の山々が堆積層の上に整った姿を現す。

Mt.Whyte 2983mやMt.Niblock2976mそしてPopes Peak3162m等の山々が連なる。




正面にビクトリア山3464mの右にCollier Peak3215mが顔を出す。



ビクトリア山の山頂は相変わらずガスが巻いている。

左に下部ビクトリア氷河を見ながら進む。

ガレキを被っている様に見える所もその下は氷河だという。



ビクトリア山から大きく流れ落ちるビクトリア氷河に ザ ミトレから流れ落ちるレフロイ氷河が合流している。

写真正面の山はレフロイ山3423m

南アルプスの北岳より高い山だが直ぐ近くにそびえていて手が届きそう。



The Mutre 2889mのガスが晴れて特異な姿がクッキリと見える様になった。

あんな山に登る事が出来るのだろうか?

ガスがレフロイ氷河の上を流れ落ちている。

いくら見ても見飽きない景色だが先を進む。



やっと正面のMt.Victoria3464mが青空の下に全貌を表した。

足取りが軽くなる。

まるで壁の様だ。

切り立った崖は氷河や雪が無くその上にはハンギング・グレーシャーが今にも崩れ落ちそうに見える。



巻く様に高度を稼ぐとあれほどいたハイカーの姿が見えなくなる。

ハイカーはビクトリア氷河の脇などで休憩しているので、いつの間にか殆どの人達を追い抜いてしまった様だ。



針葉樹林帯の緑と氷河の白そして岩の茶色のコントラストが素晴らしい。



しばし見とれてしまう。

また残雪の中を登る。



突然目の前が開けたと思ったらPopes Peak3162mが右奥に見える広場に出る。

左奥にはMt.collier 3215m。その左はビクトリア山に続く。



何人かが既に到着している。



北に見えるのはMt.Whyte2983m

実はこの地区での磁北は真北から18度程東にずれている。

かなりずれている事は知っていたが西にずれていると勘違いしていたので地図上で山を同定するのに苦労した。



9時53分到着。ここが有名なPlain of the Six Glaciers Teahouseの広場2090mだ。

のんびり歩いたので登り始めてから1時間40分程かかった。

写真を写すのにずっと上を見上げて歩いていたので首が疲れてしまったる



広場は未だ雪が多く雪の解けた所には沢山の花が咲き始めている。

茎や葉が毛に覆われているのはウェスタン アネモネ(イチリンソウ属)

花が終わった後の花柱が亜麻色の毛が密集し老人の頭のようになるらしい。

毛のない花はホワイト グローブ フラワー(キンバイソウ科)

日本ではキンバイソウ科は黄色だが此処では白色が特徴。



黄色い花はアルパイン バターカップ(キンポウゲ属)



丸太づくりのティーハウスでは名物のハーブティとケーキでくつろいでいる人達が数人。

良い雰囲気の小屋だ。

駐車場でトイレが出来なかったのでトイレを探すがこの小屋には無いという。

ちなみにカナダではトイレの事をウオッシュルームと呼ぶ事が多い。

アメリカではレストルームと呼ぶ事が多かった様に思う。



お聞きすると広場の奥に木造のトイレがあった。

このトイレはレールの上に乗ってい、てタンクが一杯になると移動してヘリコプターでタンクを交換するらしい。



広場で雪を被った山々を見ながらコーヒータイム。

ホワイト グローブ フラワーが陽差しに輝いている。



芽を出している細長いのは何だろうか?



Popes Peak3162mやその奥に続くmt.Niblock2976mの山頂にガスが流れる。

この谷も氷河が削って出来たと思われるが名前が解らない。

何処かでナキウサギの声が聞こえる。

シマリスが走り回っている。



カラマツの林の向こうにビクトリア山が絶壁の様にそびえている。

岸壁に引っ掛かっていて、今にも落ちそうに見えるのも氷河で、ハンギング・グレーシャーと言うらしい

何時崩れ落ちるかヒヤヒヤだ。





開き始めた不明花



アルパイン バターカップの様だが葉と花が何か違う様な花。



この花はアルパイン バターカップに間違いないだろう。

雪解けが進むとこの広場は素晴らしい花園になる事だろう。



さて、これから6つの氷河に最も近づくビューポイントまで行く予定。

しかし未だ誰も向かっていない様だ。

次々とやってくるハイカーも此処で休んで引き返していく。

ここから先は経験者向きとの事。誰かが行けばその後を付いていこうとしばらく待ったが誰も行く気配はない。





諦めきれずにいると家内と息子がとりあえずいける所まで行くという。

今日は未だ誰も足を踏み入れていない雪道に入っていく。

ビューポイントまで1.6qと書いてある。

10時25分



ふと岩場を見ると丸い毛の固まりの様な動物が何処かをじっと見ている。

これが有名なナキウサギ(ピカ)だろうか?

しかし少し大きくてのっそりしている。

大きな猫ぐらいある。

ホーリーマーモット(聖なるマーモット)に違いない。

名の所以通り、何処か遠くに向かってお祈りしている様に見える。

続く

カナディアンロッキー メニュー


ホームページにもお立ち寄りくださいね