里山の秋 天覧山〜大高山 2006/10/22

− 飯能駅 〜 天覧山 〜 多峰主山 〜 天覚山 〜 大高山 〜 前坂 〜 吾野駅 − 

手頃な里山歩きのつもりが、ひたすら9時間。

西武秩父線飯能駅から5つ目の吾野駅までの道程は遠かった。

昼から天気が崩れるとの予想。

手軽な山に行こうと話し合う。

奥武蔵の山も沢山登ったが気になっている山がある。

関東平野が奥武蔵の丘陵に行き着き、最初に立ち上がる山。

その一つは高麗の日和田山305mだ。

今年の3月に巾着田から日和田山に登り、顔振峠まで縦走し吾野駅まで歩いた。

ずいぶんと長い縦走だった。

もう一つに飯能駅の近くの天覧山がある。

天覧山近辺のMAP

元々は愛宕山と呼ばれた山だったが、五代将軍綱吉の病気を天覧山のふもとの能仁寺

住職が直したことに対するお礼として16体の羅漢像が寄進されてからは羅漢山と呼ばれ、

その後、明治天皇が山頂で演習視察をされてからは天覧山と呼ばれるようになったそうだ。

幼稚園や小学校の遠足や花見、ホタル狩り等で飯能市民にはとっても親しまれている山らしい。

197mの小さな山だ。

近くの五十嵐酒造に天覧山と言うとっても美味しいお酒があるらしい。

今度是非飲んでみなくては。

多峯主山(とうのすやま)270mまで歩いて高麗峠に回り、飯能駅までの里山周回コースに決定。

これなら雨の降る前に飯能駅に帰る事が出来そう。

この案を家内に話すと、何かガイドブックで調べていた??

手頃な山なので準備も無し。

遅くまでテレビを見て過ごす。

(家内の性格を知っていれば、こんな事で終わるはずがないと気付くべきだった)

天覧山から奥へと伸びる稜線は多峯主山、天覚山、大高山を経由して以前歩いた子の権現そして

伊豆ヶ岳まで続いている。しかし昭和50年代に大規模団地が出来て、登山道は分断されたと書いてある。

朝6時前に出発。

登山靴を履こうとして、靴箱の隅に昨年買ったが足先が窮屈な為、履かずに放置している靴が目に留まる。

何時かの山歩きの下りでひどい目にあった思い出が、脳裏に一瞬浮かぶ。

しかし魅惑的に「私もたまには山に連れてって」と囁きかける。

高かったし、もったいないし、今日は200m程の山だし、履いていれば少しは足先が広がるかも?

とうとう悪魔の囁きに負けて、封印していた靴を履いてしまった。

7時6分池袋発の快速特急で飯能駅に着いたのは8時前。


いつもは此処からバスに乗るが今日は歩きだ。

飯能銀座をのんびりと歩く。



飯能銀座は町興しの為に色々と工夫をしている。

それぞれの商店には意匠を凝らした看板があり、店のシャッターにも絵が描かれている。



努力は解るがウラ寂れた通りだ。



飯能銀座から飯能大通りに出る。

ここは名郷までのバスが通る道。

やはり賑わってはいない。



江戸時代には栄えたのかな?



いつの間にかガソリンも値段が下がっているなあ..

観音寺の前から左へ行くと狭い道になる。

ここから飯能河原に行く事が出来るが私たちはそのまま行く。

観音寺の鐘楼に白い像がいた?

この観音寺を真っ直ぐ行くと、手塚治虫公認の鉄腕アトム像があるそうだが、ころっと忘れていた。



恵比寿神社の前では多くの人がゴミ拾い中。

ご苦労様。お祭りがあるのかも?

右に曲がると中央公園通り。



飯能市民会館はとても立派。

異常に広い駐車場で何人か登山の準備をしている。

天覧山に登るのかな?

桜の名所を過ぎる。

桜の時期には、この広い駐車場が満員になるとか?





立派な能仁禅寺を右に曲がると直ぐに天覧山登山口。



能仁禅寺開創500年。古いお寺だ。

このお寺は、末慶応4年飯能戦争に於ける振武軍の本陣であった。

その時の戦で500人が玉砕し、全山焼け落ちたそうだ。



少し登ると広場に出る。立派なコウヤマキがある。



綱吉ゆかりの十六羅漢が岩に並んでいる。



岩場を少し登ると天覧山頂上。

8時42分着。

5〜6人ほどが休んでいた。



展望台からは飯能の街が見下ろせる。

説明板を見ると、大岳山を始めとする奥多摩の山や丹沢そして富士山も見えるらしい。

大きな写真板が設置されている。



今日は霞んで遠くの山は見えない。

ここは、幼稚園のお決まりの遠足コースらしい。

親子がそんな話をしている。

ガイドブックには茶店があると書いてあったが、とっくに草に埋もれている。



少し休んで多峯主山(とおのすやま)に向かう。

快調な山歩きだ。

もみじの木が多いので紅葉すれば美しいだろう。

ここから急な階段が続く。

かなり掘れ込んでいるので、階段を避けて側道を下る。

ここで大失敗。

粘土質の坂道で片足が「ツルッ」となった。

いつもならストックを持っているのでいとも簡単に体を立て直すのだが、今日は簡単山歩き。ストックを持っていない。

踏ん張ろうとしたら「ツルッツルッ」となってひっくり返った。

そのまま3〜4m滑り落ちた。

お尻を打って泥だらけ。

油断大敵。

思えばこれが今日の苦行の山歩きの前触れであったのだ..



坂を下りると湿原となり笹が茂っている。

このササは飯能笹と言い牧野富太郎博士が発見したらしい。

源義経の母常磐御前あまりの景色の良さに、振り返り登ったと言われる見返り坂を登るが

樹木の為に見晴らしは全くない。

関東には見返り坂とか峠とか多くあるが概して眺望は良くない。

何故だろう?

常磐御前のお墓も近くにあるという。

この湿原はホタルの名所でもあるらしい。

続く